第24話「猫カフェで両親に挨拶。」
文字数 980文字
「あら。あなたが彼女を連れてくるなんて珍しいわね。」
母が冷やかすように言うと、僕は顔が熱くなって目を逸らした。
「息子さんとお付き合いさせていただいております。よろしくお願いします。」
彼女は元気よく言って両親にお辞儀した。
「うちの息子は頼りないだろうけど、よろしくね。」
母と彼女は目を合わせて笑い合った。なんとなくだが、2人の笑顔は似ているような気がした。
「好きな席に座っていいわよ。」
店内には僕らと同年代くらいのカップルが一組、それから2人組の若い女性、あとは幼稚園児くらいの男の子を連れた母親がいた。僕らは空いている角の席に座った。毎日見ている風景だが、客として来てみると店内は違って見えた。
「この店のルールは言わなくても大丈夫よね。飲み物は何にする?」
母は僕らにメニュー表を手渡しながら言った。
「ブラックコーヒーにしようかな。」
「私はカフェオレでお願いします。」
「“かしこまりました”」
母は冷やかすように仰々しく言うと、振り返って厨房の方に向かった。
しばらく店内を見回していると、一匹の茶トラ猫が彼女の膝に乗った。彼女は幸せそうな顔で猫を撫で、僕はその様子に見惚れていた。
「やっぱり素敵なお店ね。ご両親も元気そうで何よりだわ。」
「そういえば昔は遊びに来てたんだよね。」
「10歳まではね。」
彼女は儚い表情で優しく猫を撫で続けた。
「僕が2階にいる間、君が同じ家の1階にいたなんて不思議な気持ちだな。」
母が微笑みながら我々の飲み物を持ってこちらにやって来た。
「お待たせしました。」
母は飲み物をテーブルに置くと、空になったお盆を前に抱えながら、彼女の膝に乗った茶トラ猫の方に目をやった。
「その子はオスの猫でね、女の子にしか甘えないのよ。」
「そうなんですか?」
彼女は僕の膝に猫を乗せてみたが、嫌がるようにすぐ彼女の膝に戻った。
「ほらね。やっぱり男の子だからスケベなのよ。」
母はクスリと笑って猫を軽く撫でた。それから彼女は からかうように僕の顔を覗き込んだ。
「嫉妬してる?」
「してないよ。」
僕がよそを向くと、母と彼女は再び目を合わせて笑い合った。2人ともすぐに僕をからかうし、その笑顔も似ている。
彼女は膝の上でくつろぐ猫を撫でながら母に言った。
「実は昔、こちらのお店に来てたんです。」
それを聞いた母は優しく微笑んだ。
「大きくなったわね。」
母が冷やかすように言うと、僕は顔が熱くなって目を逸らした。
「息子さんとお付き合いさせていただいております。よろしくお願いします。」
彼女は元気よく言って両親にお辞儀した。
「うちの息子は頼りないだろうけど、よろしくね。」
母と彼女は目を合わせて笑い合った。なんとなくだが、2人の笑顔は似ているような気がした。
「好きな席に座っていいわよ。」
店内には僕らと同年代くらいのカップルが一組、それから2人組の若い女性、あとは幼稚園児くらいの男の子を連れた母親がいた。僕らは空いている角の席に座った。毎日見ている風景だが、客として来てみると店内は違って見えた。
「この店のルールは言わなくても大丈夫よね。飲み物は何にする?」
母は僕らにメニュー表を手渡しながら言った。
「ブラックコーヒーにしようかな。」
「私はカフェオレでお願いします。」
「“かしこまりました”」
母は冷やかすように仰々しく言うと、振り返って厨房の方に向かった。
しばらく店内を見回していると、一匹の茶トラ猫が彼女の膝に乗った。彼女は幸せそうな顔で猫を撫で、僕はその様子に見惚れていた。
「やっぱり素敵なお店ね。ご両親も元気そうで何よりだわ。」
「そういえば昔は遊びに来てたんだよね。」
「10歳まではね。」
彼女は儚い表情で優しく猫を撫で続けた。
「僕が2階にいる間、君が同じ家の1階にいたなんて不思議な気持ちだな。」
母が微笑みながら我々の飲み物を持ってこちらにやって来た。
「お待たせしました。」
母は飲み物をテーブルに置くと、空になったお盆を前に抱えながら、彼女の膝に乗った茶トラ猫の方に目をやった。
「その子はオスの猫でね、女の子にしか甘えないのよ。」
「そうなんですか?」
彼女は僕の膝に猫を乗せてみたが、嫌がるようにすぐ彼女の膝に戻った。
「ほらね。やっぱり男の子だからスケベなのよ。」
母はクスリと笑って猫を軽く撫でた。それから彼女は からかうように僕の顔を覗き込んだ。
「嫉妬してる?」
「してないよ。」
僕がよそを向くと、母と彼女は再び目を合わせて笑い合った。2人ともすぐに僕をからかうし、その笑顔も似ている。
彼女は膝の上でくつろぐ猫を撫でながら母に言った。
「実は昔、こちらのお店に来てたんです。」
それを聞いた母は優しく微笑んだ。
「大きくなったわね。」