第19話「バイト終わり、5件の着信。」
文字数 996文字
同窓会から2週間後の日曜。21時半にアルバイトを終えた僕は、更衣室で帰宅する準備をしていた。ふと携帯を見てみると、着信が5件入っていた。
彼女からだった。
同窓会で会った時に「また連絡するね。」とは言っていたが、このことだろうか。思い返してみれば僕と彼女は1度も電話したことがなかった。今回はメッセージではなく5回の着信。どういった要件なのだろうか。
僕は緊張しながら折り返し電話をかけてみると、ちょうど1コールで出た。
「もしもし。」
彼女の声は聞き取れないほど小さかったが、携帯の音量は最大だった。
「バイト中で携帯を見れなかったんだ。」
「たくさん電話かけてごめんなさい。」
「構わないよ。」
沈黙。
「会いたい。」
鼓動が速まった。
「いいよ。いつにしようか。」
「今から会いたい。」
彼女の真っすぐな言い方でさらに心拍数が上がる。
「遅くなるけど大丈夫?」
「今から会いたいの。あなたは大丈夫?」
「僕は構わないよ。どこで会おうか?」
「私の家でもいい?」
僕はかなり戸惑ったが、必死で平然を装った。
「僕は構わないよ。」
「わがまま言ってごめんなさい。それじゃあ住所を送るね。」
僕は鈍行の電車に乗り、12個離れた彼女の最寄り駅に向かった。
前に彼氏がいると言っていたが、僕が家に行っても良いのだろうか。まあ彼女から提案してきた訳だから、問題ないのだろう。
僕は彼女の家に行く。
改めて意識すると、口から心臓が飛び出るほど緊張してきた。「女の子から家に誘われたということは…」よこしまな考えが浮かんでは首を振った。
向こうに着くのは23時くらいになる。どれくらい過ごすかは分からないが、帰る頃には終電がなくなるかもしれない。「もしそうなったら彼女の家に…」また首を振る。僕は邪念を振り払うために外の景色を眺めることにした。
僕は5個となりの駅まで行ったことはあるが、それから先は初めてだった。外の風景は次第に自然が多くなり、完全な田舎になった。
僕は彼女から言われた駅で電車を降りると、地図アプリで家の住所を調べた。ナビ通りに5分ほど歩いていると、いかにも大学生向けといった綺麗なマンションの前に着いた。地図はこの建物を指していた。
静かなエレベーターで階を上がっていると、自分の鼓動が耳で聞こえてきた。僕は言われた部屋の前に着くと、深呼吸してからチャイムを鳴らした。しばらくしてドアがゆっくりと開いた。
彼女からだった。
同窓会で会った時に「また連絡するね。」とは言っていたが、このことだろうか。思い返してみれば僕と彼女は1度も電話したことがなかった。今回はメッセージではなく5回の着信。どういった要件なのだろうか。
僕は緊張しながら折り返し電話をかけてみると、ちょうど1コールで出た。
「もしもし。」
彼女の声は聞き取れないほど小さかったが、携帯の音量は最大だった。
「バイト中で携帯を見れなかったんだ。」
「たくさん電話かけてごめんなさい。」
「構わないよ。」
沈黙。
「会いたい。」
鼓動が速まった。
「いいよ。いつにしようか。」
「今から会いたい。」
彼女の真っすぐな言い方でさらに心拍数が上がる。
「遅くなるけど大丈夫?」
「今から会いたいの。あなたは大丈夫?」
「僕は構わないよ。どこで会おうか?」
「私の家でもいい?」
僕はかなり戸惑ったが、必死で平然を装った。
「僕は構わないよ。」
「わがまま言ってごめんなさい。それじゃあ住所を送るね。」
僕は鈍行の電車に乗り、12個離れた彼女の最寄り駅に向かった。
前に彼氏がいると言っていたが、僕が家に行っても良いのだろうか。まあ彼女から提案してきた訳だから、問題ないのだろう。
僕は彼女の家に行く。
改めて意識すると、口から心臓が飛び出るほど緊張してきた。「女の子から家に誘われたということは…」よこしまな考えが浮かんでは首を振った。
向こうに着くのは23時くらいになる。どれくらい過ごすかは分からないが、帰る頃には終電がなくなるかもしれない。「もしそうなったら彼女の家に…」また首を振る。僕は邪念を振り払うために外の景色を眺めることにした。
僕は5個となりの駅まで行ったことはあるが、それから先は初めてだった。外の風景は次第に自然が多くなり、完全な田舎になった。
僕は彼女から言われた駅で電車を降りると、地図アプリで家の住所を調べた。ナビ通りに5分ほど歩いていると、いかにも大学生向けといった綺麗なマンションの前に着いた。地図はこの建物を指していた。
静かなエレベーターで階を上がっていると、自分の鼓動が耳で聞こえてきた。僕は言われた部屋の前に着くと、深呼吸してからチャイムを鳴らした。しばらくしてドアがゆっくりと開いた。