第12話「日常に戻る。」
文字数 978文字
次の月曜日。教室に入ると、席に座っていた彼女と目が合った。僕らは顔を赤らめながら同時に目をそらした。
その日は授業も頭に入らず、彼女と繋いでいた方の手を眺めているうちに1日が終わった。彼女の方は何を考えているだろうか。何も考えてはいないだろうか。
それからの日々は、彼女と廊下ですれ違えば軽く挨拶する程度で、これといった会話もしなかった。時間が経つにつれて、僕の心は元に戻っていった。
夏休みになると、部活動もしておらず友達もいない僕は暇になった。
友達
夏休み中の彼女は今ごろ何をしているだろうか。僕は“彼女に連絡してみようかと携帯を手に取っては、少し考えてやめる”という一連の流れを何度も繰り返した。
僕はいつも通り家の近くにある公園のベンチに座って世界を眺めたり、その公園にいる野良猫を撫でたり、自宅の猫を撫でたりして過ごした。暇なので、夏休みの宿題は初めの1週間で全部終わってしまった。
9月になり、新学期のある日。いつものようにグラウンド横の自動販売機で缶コーヒーを買って帰ろうとしたところで、彼女と ばったり会った。
お互いにどういう顔をすればいいのか、何と声をかければいいのか忘れて戸惑っていたが、きまずさを破るため僕の方から話しかけた。
「何だか久しぶりだね。」
「そうね。元気にしてた?」
「うん。変わりないよ。君は?」
「私も変わらずよ。」
お互いに話しながら、目を合わせてはすぐに逸らしていた。
彼女がいつも通りカフェオレを買ったところで、僕は緊張しながら声をかけた。
「えっと、一緒に帰らない?」
「そうしましょう。」
僕らは並んでバス停の方に歩き始めた。以前と比べてお互いに口数は減り、空や周りの家や地面を見ながら歩いた。たまに夏休みをどう過ごしたかなど他愛もない話をした。
仮に僕が自転車通学じゃなくて2人とも歩いていた場合、彼女は手を繋いでくれるのだろうか。なんとなく拒まれるような気がした。
彼女は「また明日。」と言ってバスに乗り込んだ。1番後ろの特等席は埋まっており、彼女は後ろから3番目の席に座った。彼女は少しだけ手を振った後、すぐに目を逸らして携帯を見始めた。
そうして僕はまた日常に戻った。学校の近くにある例の公園にはいつの間にか寄らなくなっていた。家に帰ってから彼女のことを考える日もあったが、その回数も次第に減っていった。
その日は授業も頭に入らず、彼女と繋いでいた方の手を眺めているうちに1日が終わった。彼女の方は何を考えているだろうか。何も考えてはいないだろうか。
それからの日々は、彼女と廊下ですれ違えば軽く挨拶する程度で、これといった会話もしなかった。時間が経つにつれて、僕の心は元に戻っていった。
夏休みになると、部活動もしておらず友達もいない僕は暇になった。
友達
夏休み中の彼女は今ごろ何をしているだろうか。僕は“彼女に連絡してみようかと携帯を手に取っては、少し考えてやめる”という一連の流れを何度も繰り返した。
僕はいつも通り家の近くにある公園のベンチに座って世界を眺めたり、その公園にいる野良猫を撫でたり、自宅の猫を撫でたりして過ごした。暇なので、夏休みの宿題は初めの1週間で全部終わってしまった。
9月になり、新学期のある日。いつものようにグラウンド横の自動販売機で缶コーヒーを買って帰ろうとしたところで、彼女と ばったり会った。
お互いにどういう顔をすればいいのか、何と声をかければいいのか忘れて戸惑っていたが、きまずさを破るため僕の方から話しかけた。
「何だか久しぶりだね。」
「そうね。元気にしてた?」
「うん。変わりないよ。君は?」
「私も変わらずよ。」
お互いに話しながら、目を合わせてはすぐに逸らしていた。
彼女がいつも通りカフェオレを買ったところで、僕は緊張しながら声をかけた。
「えっと、一緒に帰らない?」
「そうしましょう。」
僕らは並んでバス停の方に歩き始めた。以前と比べてお互いに口数は減り、空や周りの家や地面を見ながら歩いた。たまに夏休みをどう過ごしたかなど他愛もない話をした。
仮に僕が自転車通学じゃなくて2人とも歩いていた場合、彼女は手を繋いでくれるのだろうか。なんとなく拒まれるような気がした。
彼女は「また明日。」と言ってバスに乗り込んだ。1番後ろの特等席は埋まっており、彼女は後ろから3番目の席に座った。彼女は少しだけ手を振った後、すぐに目を逸らして携帯を見始めた。
そうして僕はまた日常に戻った。学校の近くにある例の公園にはいつの間にか寄らなくなっていた。家に帰ってから彼女のことを考える日もあったが、その回数も次第に減っていった。