第3話の1
文字数 246文字
彼の体は、まるで種族のそれと異っていた。
彼か生まれた時、彼の父はム=ウムを殺そうとした。
必死で長老達が押しとどめなければ、彼は今生きていなかった。
水棲人たる彼にはエラがなかったのだ。
少なくともエラがはえるまで日数がかかった。
その間、彼は息も絶え絶えの状態だったのだ。
部落の中央にある岩屋の中の、天井にたまったわずかな空気で彼はかろ
うしかその生命を保っていた。
さらにうろこのはえるのも遅かった。
ム=ウムが一族の災いの元である決定的な証拠はミ=ムネしか知らない。
それは今日から、三ヵ月前のことだ。