第2話の1

文字数 1,325文字

スミマセン文字が多くて入り切りません
■我が心の洪水第2回■
 ●フネ●は大洋を漂っていた。
陸地と呼べるものは存在しなかった。
生物は海の中に生息していた。海はどこまても青く、広がっている。
地球は大洋といってよかった。地球イコール水球だ。
 「フネ」は地球上を巡航し、「真人」を見つけだし、回収し保護することを自分の目的と
考えていた。「真人」、誠の地球人類である。
フネは大いなる昔、何者かによって造りだされ、海に送りだされた。
フネの記憶回路はそう告げていた。
 「シュクセイキ」が地球にとって通い昔となった時、人類の影はなかった。
シュクセイキ。
人類はなぎ倒され、多くの者は苦痛の中で、のたうち死んでいき、わずかに残った者はその体の染色体に異常
を受け、入間の形態をとらぬ生物へと変化をしていった。
 人間の遺伝子をより濃厚に持つ真人を捜し出すことは、無限とも思われる能力を持つフネにとっても画題をき
わめた。
 フネの側を、水棲人の一入が泳いでいた。
彼は驚く。
こんな巨大なものが世の中に存在していたとは。
その巨大さは彼の理解力を越えている。
水棲人は近づくこともなく、フネを見ていた。
 今夜、彼の集落は、この話でもちきりになるだろうし、彼は中心的役割を果たすことになる。
フネに出会うことはめったに次い。
その千載一遇の機会に彼はでくわしたのだ。彼の子々孫々にこの語は語りつがれるだろう。
 フネは乳白色をしていた。底部は卵形をしている。中央は塔のような突起物が見えた。
船の外周から中心部へとながらかな曲線で頂点部へともり上っている。
フネは、だから海からひときわ高く空へ向けそそり立つ棒のようにも見えた。
窓と呼べるものはない。全表面はすべすべして光り輝き、つなぎ目も
まったく存在しない。

が、フネは意志をもっていた。その意志はある目的遂行のため。



■ ム=ウムは、水棲人一族の者と共に狩りに精を出していた。ム=ウムのエラから泡が立ち登っている。
ムの一族は水棲人で、体全身はうろこで被われ、海の中を自在に泳ぎ、自分達の世界としていた。
 狩りの獲物はまた、変貌した魚類であった。魚類は巨大になり強力な力を手にしていた。
 かつて陸上で我が世の春を謳歌していた肉禽獣のごとく、彼ら魚類は力強ぐ柔軟な体躯を自分のものとしていた。
 大昔、アフリカ人達が、白身の持てる智力と体力でライオンや豹と対峙していた様に、水棲人達は魚類と闘っ
ているのだった。
今日の獲物は飛切上等の「グル」だ。何にちも部族が食べる事ができるこの時代のくじらだ。

ム=ウムの仲間達はもう小一時間も奴を追いかけていて、薙ぎ倒そうとしていた。
手にしているモリは唯一の武器。ム=ウムたちは集団戦法を得意としている。グルに一人で立向かうとす奴は生
まれながらのパカなのだ。ダルにかかって何人の仲間が死んでいったろう。グルの愕は昔のサメの伺倍もあった。
グルもかなり傷ついて、狂暴になっていた。気をつけ痙ければいけない。こんな時が一番危い。
彼らも注意力が散漫になっている。疲れているのだ。
海上から何かが落下してきた。その透明の半球状のものが、突如、水棲人達を襲ってきたのだ。
底部から突出した無数の触手を、水棲人遠にのばす。
ムは痛みを感じた。
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