第4話の1

文字数 612文字

我が心の洪水第4回■の1

ム=ウムはフネの収容子の出入口を捜そうとしていた。
 数週間、ム=ウムは例のチューブですごしていたが、知らない聞に外科手術を受け、エラは切り除かれていた。
彼は海との絆をとりはらわれていたのだ。
水の中でなくても呼吸ができるようになっている。
フネの教導師に不審をいだかれないように、ムは出入口の発見を急がなければならなかった。
しかし、この行動は、ム=ウムが自ら望んでやっているわけではない。ム=ウムの体は人形つかいに操つられているように動き、行動しているのだった。
ム=ウムの心の内から声が響いている。
テレパシーだろうか。
 『ム=ウムよ、時が近づきつつある。早くフネの出入口を見つけ出すのだ。そして我々の合図と共に出入口を開けるのだ』
ム=ウムは急ぐ。
教導師ゼフの目をのがれ、船内を動きまわった。
が、ム=ウムが収容されているフロアより上にも下にも行くことができないのだ。
階段が存在しない。
ドアの向こうは常にム=ウムが収容されているよう々球形の核部屋しかなく、ムと同じ様に収容された人類の末裔がいるだけたった。
彼らとはまったくコミュケーションが取れない。ム=ウムとは言語形態が異なる様だった。
かれら皆が同じ人類から派生したものだろうかと、。ム=ウムは思う。
すべての生物は、いまや海の中で繁殖し、生活している。
ひそかにム=ウムの頭の中に、ある言葉が刻みこまれていたのだ。ムはもちろん気付いていない。黒き破壊指令だ。
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