第5話の6
文字数 227文字
半死半生の傷ついた姿だ。
フネは流れ込んだ激流に飲みこまれ、翻弄される。やがて浮力により水面上に持ち上げられる。しかしその姿は痛々しい。
昏倒からようやく目ざめたフネは憎悪のかたまりと化していた。
混濁の世界から抜け出したフネの記憶はシュクセイキを思い出していた。
今の原爆を体に受けた体験は過去の放射線の記憶へと繋がっていた。
フネは、今、シュクセイキの時の記憶を再生し始めた。
怒りはフネの全神経組織を狂わせ、憎悪の噴出として、巨人がフネの内部から送り出された。
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