第１９話　降って来る

文字数 225文字

　アンちゃんは、人を踏んで歩く。
避けたりなんか、絶対しない。
「私の歩く先に、人がいるのが悪いのよ」
そう言って、横になる私のお腹を踏みつけて横切って行く。
歩いている時はまだいい。走りながら踏まれる時は、一瞬息が止まるほどだ。
怖いのは、押し入れの上の方で寝ていた時だ。
上から降りようとすると、下に人がいてもお構いなしなので、
「ドン」
と、降って来る。
頭だろうが、肩だろうが、お腹だろうが。
アンちゃんが、押し入れに入っている時は、特に注意しなければいけない。