第2話 今日もかわいい

文字数 409文字

 猫はかわいい。そんなことは、わかっている。
私は今まで、動物全てが好きなのだと思っていた、が、それは違っていた。
動物園に行って、パンダやらアルパカやら世間では可愛いといわれている彼らを見ても、
内から沸き起こる「愛情」のようなものはちっとも感じなかったからだ。
 現在、ロシアンブルーのアンちゃんという、メスの猫と暮らしている。
彼女の性格は、臆病、神経質、狂暴で、ほんの1ミリの甘えん坊である。
炬燵でウトウト寝ようものなら、髪の毛をむさぼられ、ドラキュラ伯爵よろしく肩口をガブリ。
彼女の横を並んで歩こうものなら、足首を噛まれ、足の甲をミミズばれにされてしまう。
サバンナを、思い浮かべて頂きたい。
あちこちに、ライオンやハイエナがいて、自分はか弱い草食動物である。
少しの油断が、命とりだ。
我が家は、常にサバイバル。食うか食われるか。いや、ほとんど食われているのだが。
それでも、アンちゃんを見るたびに思う。
「今日も、可愛い」と。



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