第14話 B級ゾンビ映画

文字数 461文字

 アンちゃんの爪を切ることとは、すなわちB級ゾンビ映画の主人公になること。
世界は、謎のゾンビウイルスが蔓延しており、荒廃しきっていた。
冴えない一般市民の私がなぜか生き残り、大した装備もなく、
グレーの猫型ゾンビ(アンちゃん)に近づかなければならない、という設定。
ゾンビの爪には、ワクチン製造のカギが含まれており、危険をおかしてでも
切り取りに行かなければならない。
その爪を研究所に運び込むところまでが、人類を救うという私の使命なのだ。
バックには神経を逆なでするような音楽が流れ、
息を殺しながら、少しずつグレーゾンビに近づく。
奴は深く眠っており、今がチャンスとばかりに、私は爪切りを構える。
しかしゾンビの腕の毛に、私の手が触れるか触れないか、というところで、
「カッ」と、金色の目が見開かれてしまうのだ。
「ぎゃあああ」
主人公は、無残にも噛みつかれ、ゾンビへと変貌していく。
と、下らない妄想しながら挑み、噛みつかれて失敗に終わる。
一人では、到底無理だ。
母と二人で、協力することにした。
世界は、謎のゾンビウイルスが蔓延し…(繰り返す)

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