第29話:英才塾の個性的な親子

文字数 1,655文字

 有名中学卒業し有名高校に入ると辞めていく塾生が多い。そこで新旧の交代となる。今年も新しく23人が入ってきた。そして7月を迎えて夏休みに入り、この夏休みと冬休みに急成長する塾生と伸びない塾生さんで、大きな差が付く傾向があった。やはり心がけの良い塾生は、伸びて自分の能力精一杯出せる。中には自分の能力に嫌気がさし落ちこぼれていく場合も見られた。

 そう言う意味で土日祭日だけの塾でも多くの人生ドラマが垣間見えた。一般的に楽しんで勉強してる塾生の成長が、早いと言えそうだ。そして今年も夏休みが終わり9月になり急成長した塾生が18人いた。その後、自信を失って佐光英才塾から離脱する塾生の後ろ姿が寂しそうで佐光陽子さんが、ここを辞めても頑張って自分の道を歩んでねと言った。

 中には、世の中が広いと言う事がわかっただけでも良かったと言う塾生がいるのに、救われた気がした。そして2010年が終わり2011年を迎えた。2011年2月、3月になり有名中学の入学試験で、次々と合格のニュースが入った。有名進学中学校に落ちても公立高校に入れる塾生も多いが、やはり志望校に落ちた塾生のほとんどが、塾を辞めて行くのが現状だった。

 4月27日早朝、MB銀行の重松さんから電話で豪ドル円が上昇してるの1豪ドル88円で400万豪ドルを売ると良いと言われ売りを入れた。その晩に、売れ、残金が97600万円となった。そして今年も佐光英才塾に入塾して自分の実力ではついて行けないとか志望高校へ入学できなかった生徒が18人辞めていき、新しく青雲の志を持った若者が20人入塾してきた。

 頭が痛いのは、塾生の両親が、自分の子供の能力を過大評価して、子供を悩ませ、せっかくの子供の才能の芽を摘む事であり、あまり性急に決めつけないで最低3年間は見てやった方が良いと両親に進言することも多い。実際に入塾後1、2年は目立たなかったのに3年目に要領を覚えて急成長する塾生を何人も見て来た。そう言う塾生の方が、現在でも、順調に、成長している

 そう言う事実を見ていた。次に多い問題は、いわゆるガリ勉タイプで、とにかく理屈抜きに覚えることを最優先しているタイプ。低学年のうちは暗記問題ができれば、かなりの優秀な成績を取れるが小学校4年以降の思考問題の応用問題となると成績がガクンと落ちてくるタイプの塾生。こう言う場合は正直に将来性について両親に伝える様にしている。

 しかし、そう言う両親に限って自尊心が強く、こんなひどいこと言われたのは、初めてだと、言ったり、侮辱するのもいい加減にしろと言って、怒りだしてトラブルを抱えたまま退塾していく親もいた。そんな事で佐光英才塾には英才塾ならではの悩みがあるのも事実。先生は優秀な塾生の背中を押したり興味の栓を開けてやる事しかできない。

 実際に行動をするのは、あくまでも本人。先生は、伴奏者、悩み相談、強み弱みを教えるコーチでしかない。こんな事を述べていると思い出される事件がある。それは4年前、東京の富裕層のお嬢様が入塾してして来て、もちろん成績優秀だったが、名前は、土光幸子。この塾で勉強してることは、何か自分のめざしてるもののではないと悩みを持っていた。

 そんな時、佐光陽子さんが、私に考えがあると言い、塾の日、電車で上野を出て佐倉のDIC川村美術館へ連れて行った。ここは大日本インキが運営している私立の美術館。何も言わないで館内巡りをすると、土光幸子さんが何かにとりつかれた様に、自分の気に入った絵の前で立ち止まり何か独り言を言った。1時間半で鑑賞を終え美術館の外の素晴らしいにを散歩した。

 その時、わかったわ、私の進むべき道が、と言い、素敵な笑顔を見せてくれた。彼女は小さい頃から、父に言われてピアノ、バレーを専任講師を家に招いて教えてもらい、かなりの腕前になっていた。しかし、もう一歩、積極的に前に進む気がしなかったと言う。ところが、今日の美術館巡りで、私は美術をやるべきだとわかったと言い、やれる気がするとも言った。
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