第16話 煌めき
文字数 1,159文字
私は仕事が終わり、会社からa劇団レッスン場のあるビルへE君の自主練習に付き添うために向かう。するとレッスン場からE君ともう一人出てきた。私は驚き、怪訝な顔をしていると、E君が口を開いた。
「すみません、F君。今度、a劇団の飲み会があるんですけど、F君も誘えってこいつがしつこくて。」
E君は困った様子で、横を指しながらもう一人の人物の方に目をやる。
E君の指をさす方にいる人はIさんと言い、a劇団の劇団員であった。E君の友人らしい。Iさんは「どうも~」と若干胡散臭さの感じる笑顔を私の方へ向け、自己紹介をする。
「FさんがいつもEの自主練手伝ってくれているって聞いて、これはお礼をしなくちゃと思いましてね。今度飲み会があるんです。一緒にお食事どうですか?」
私が答える前にE君が割って入ってきた。
「お食事って、大人数の飲み会だろ。F君、断ってもらって全然大丈夫です。」
E君は私をかばうように言った。
今までの私なら、知り合いが一人しかいない大人数の飲み会なんて断っていた。だが、この時、私はE君がいるならどんなところでも行けるような気がしたのだ。
「私は大丈夫ですよ。お言葉に甘えて飲み会参加させてもらいます。Iさんお誘いありがとうございます。」
と快く了解した。E君は「すみません」と言いながら困ったように笑い、Iさんは「よっしゃ!」とガッツポーズをしている。Iさんはにこにこしながら、飲み会の場所と時間を教えてくれた。
今日はIさんがいるから、私は帰ろうとしたが、E君に「せっかくだから練習見て行ってください。」と言われたので、二人の練習を見学させてもらうことにした。いつもE君だけの演技しか見ていなかったので、Iさんも加わると新鮮だった。二人の演技で表現された世界が目の前に広がる。
自主練習が終わり、外は薄暗くなっていた。外に出ると春のまだ冷たい風が体を包む。「さむっ」と言いながらIさんは両腕を組み、前かがみになりながら「寄るところあるから、俺はここで!」と足早に帰って行った。
「本当に騒がしい奴で、すみません。」
「とても明るい人で、楽しかったですよ。あと、Iさんと演技練習しているE君もすごく良かったですし…」
私は言いながら照れてしまった。(振り返れば、少し自分が気持ち悪く感じる…。)
「F君にそう言ってもらえて嬉しいな。ありがとうございます。」
E君は笑顔で言った。そして、Iさんの面白いエピソードを聞かせてもらったり、この前行ったお店の料理がとてもおいしかったという話をしたり、私たちは会話を楽しんだ。E君はとても楽しそうだ。
私はE君の隣で何度安らぎを感じただろうか。私も自然と楽しい。
気づけば、日は完全に沈み、辺りは真っ暗になっていた。ふと、空を見上げると街灯の光よりも強く星が煌々と輝いていた。
「すみません、F君。今度、a劇団の飲み会があるんですけど、F君も誘えってこいつがしつこくて。」
E君は困った様子で、横を指しながらもう一人の人物の方に目をやる。
E君の指をさす方にいる人はIさんと言い、a劇団の劇団員であった。E君の友人らしい。Iさんは「どうも~」と若干胡散臭さの感じる笑顔を私の方へ向け、自己紹介をする。
「FさんがいつもEの自主練手伝ってくれているって聞いて、これはお礼をしなくちゃと思いましてね。今度飲み会があるんです。一緒にお食事どうですか?」
私が答える前にE君が割って入ってきた。
「お食事って、大人数の飲み会だろ。F君、断ってもらって全然大丈夫です。」
E君は私をかばうように言った。
今までの私なら、知り合いが一人しかいない大人数の飲み会なんて断っていた。だが、この時、私はE君がいるならどんなところでも行けるような気がしたのだ。
「私は大丈夫ですよ。お言葉に甘えて飲み会参加させてもらいます。Iさんお誘いありがとうございます。」
と快く了解した。E君は「すみません」と言いながら困ったように笑い、Iさんは「よっしゃ!」とガッツポーズをしている。Iさんはにこにこしながら、飲み会の場所と時間を教えてくれた。
今日はIさんがいるから、私は帰ろうとしたが、E君に「せっかくだから練習見て行ってください。」と言われたので、二人の練習を見学させてもらうことにした。いつもE君だけの演技しか見ていなかったので、Iさんも加わると新鮮だった。二人の演技で表現された世界が目の前に広がる。
自主練習が終わり、外は薄暗くなっていた。外に出ると春のまだ冷たい風が体を包む。「さむっ」と言いながらIさんは両腕を組み、前かがみになりながら「寄るところあるから、俺はここで!」と足早に帰って行った。
「本当に騒がしい奴で、すみません。」
「とても明るい人で、楽しかったですよ。あと、Iさんと演技練習しているE君もすごく良かったですし…」
私は言いながら照れてしまった。(振り返れば、少し自分が気持ち悪く感じる…。)
「F君にそう言ってもらえて嬉しいな。ありがとうございます。」
E君は笑顔で言った。そして、Iさんの面白いエピソードを聞かせてもらったり、この前行ったお店の料理がとてもおいしかったという話をしたり、私たちは会話を楽しんだ。E君はとても楽しそうだ。
私はE君の隣で何度安らぎを感じただろうか。私も自然と楽しい。
気づけば、日は完全に沈み、辺りは真っ暗になっていた。ふと、空を見上げると街灯の光よりも強く星が煌々と輝いていた。