第17話 劇団の飲み会は、

文字数 606文字

 Iさんから聞いた時間に居酒屋へ行くと、20人以上が入ることのできる個室に劇団の人と思われる人が数人いた。まだ皆揃っていないらしい。E君もまだ来ていなかった。
 私は奥の隅の席へ行こうとすると、Iさんがするするとやって来て「この間はどうも。こちらどうぞ~。」と真ん中の席へ案内されてしまった。「いや、私は劇団の人ではないですし、端の方で…」と言い終わらないうちに「これから役者組もやって来るんで、今日は楽しんでいってくださいね~!」と言われる。私は真ん中の席でポツンと残されてしまった。
 私より前に来ていた劇団の人たちは私と対極の位置で話をしていた。居づらさを感じながらも仕方ないのでおしぼりで手を拭いたり、水を飲んだりして皆が来るまでやり過ごすことにした。
 
 その後しばらくして続々と人がやって来た。話しぶりから稽古終わりだと分かる。私の周りにも人がどんどん座っていくが、E君の姿はない。
 挨拶を交わしていくうちに私の周りに座っている人は、舞台裏方の人達だと分かった。そして、E君はというと数人の劇団員たちと入って来た。私がちらっとE君の方に視線をやると、E君と目が合い、お互い手を挙げて挨拶する。そしてE君は私の方へ来ようとした。しかし、E君の傍にいた人が彼を呼び止めて、そちらに座らせてしまった。a劇団の飲み会だから席が離れてしまうのは仕方ないと自分に言い聞かせながらも、胸の内は残念で不安で仕様がなかった。
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