第48話 掌
文字数 753文字
～同日、朝の大学、午前11時～
(立ち止まってしまった、
大切なものを心の中に仕舞ったまま・・・)
(唇は伝えたがりのはずなのに・・・)
(ずっと追いかけてきた。)
(ずっと問いかけていた。)
(心に嘘をついた。)
(自分の気持ち、
(振りをしただけ、ただ騙された振り・・・)
(瞳 が合うだけで五線譜の上に散りばめられていく音符たち。)
(そんな瞳で見ないで、また好きになってしまう・・・)
(何度も背中を押してくれた。)
(あのときの
(進まなきゃ、
これ以上近づいたら胸のドキドキを聞かれてしまう・・・)
・・・
(思いどおりにならなかった、
アイバくんの心も、自分の心も・・・)
(アイバくんは幸せにならなくちゃいけない人、
隣にいるのが私じゃなくても・・・)
(幸せにならなきゃダメ、絶対。)
(例外は認めない。)
(忘れるつもりはないよ。)
(こんなに強くしてくれたんだもん、忘れられる訳ないでしょ。)
(世界で2番目に気になる人なんだから。)
(1番目を見つけなきゃ。)
(第一印象だけじゃわからない？)
(確か・・・知り合いの不思議ちゃんがそんなこと言ってたっけ。)
(目標はフジイさん、
優しくて、
(その魅力、盗ませていただきます。)
(ああいう人に近づけたなら、私だって・・・きっと・・・)
(歩き出すから見てて、2人で。)
(「時」は刻むもの・・・)
(ちゃんと見届けて。)
(「人」は慕 うもの・・・)
(「胸」は・・・)
(「胸」は躍るもの。)
・・・
(何だろう、高鳴る、何も見えないのに・・・)
(何だろう、生きてる、今まででいちばん・・・)
(大事なことはいつも、そこから始まっていた。)
(その飾らない
