第32話 覚 悟
文字数 972文字
～3日前、月美 の学食、午後1時25分～
フジイさん！
(！！)
あ、こんにちは。
今日は1人ですか？
はい。
話がしたくて・・・待っていました。
話？私と？え？いつから？
え～と、朝から、ハハ・・・
朝から！？
駅で待つよりも確実かなって・・・
もう1時半ですよ！
時間、ありませんか？
～同日、喫茶店、午後1時40分～
写真のこと？
はい。
実は私も写真に興味があって。
全くの初心者なんですけど・・・
そうなんですか。
デジタル一眼レフとかいいなァって思うんだけど、
高そうだし。
私のでよければ使ってみますか？
え？いいんですか？
言ってもらえれば、いつでも。
ありがとうございます。
それと、あの・・・
はい？
あの、被写体が最初から決まっているのに、
それ以外のモノを急に撮りたくなることってありますか？
え？
撮影中に気になるモノを見つけたときとか？
う～ん・・・
特に撮影中は没頭しちゃうので、
基本的には目に入らないかな。
ですよね・・・
(？)
あ、すみません、回りくどくて。
(？)
アイバくんの写真、
(！！)
どんな雰囲気だったか、覚えていますか？
あァ、えと・・・
あの、うまく伝わらないかもしれないけど・・・
アイバさんの周りだけ、
時間がゆっくり？流れているみたいなんです。
(うん。)
すごく優しくて、真っ直ぐで、
温かいメロディー？に包まれていて・・・
(うん、うん。)
それが少しずつ、近づいて来て、
自分までその中に入り込んだみたいに・・・
(！！)
(？)
離れてたのに？
はい。
初めて会ったのに？
はい。
届いたんですね。
はい？
アイバくんのあの雰囲気が。
(？)
届きませんでした、私には・・・
え？
・・・好きなのに。
(！！)
・・・
あ、それはまだ、これから、
半年も経つのに・・・
(私が立ち止まった理由・・・)
・・・
(伝えたらきっと・・・終わってしまう。)
・・・
フジイさんはアイバくんのこと、
どう思ってますか？
(！！)
え、あ、私は・・・
・・・
私は・・・気になっています・・・
あ、でも、アイバさんは、そんなこと全然、
同じ気持ちだと思います。
(いつも笑っていたい。)
え！？
見てるとわかるんです、
辛いけど・・・
(でも、アイバくんを困らせる笑顔ではいたくない。)
・・・
フジイさんでよかった。
(！？)
じゃなかったら、
～現在、帰り道、午後3時10分～
(この話は内緒・・・)
ギュッ
(！？)
