第49話 心

文字数 1,256文字

~1月、サヤの日記、午後11時40分~
1月○日(○)


3人で初めての女子会。

凄く楽しかったけど、

タケルくんの話しになるたび不安になる。

目を閉じていても手のつなぎ方でわかるのに。

全部つかまえたつもりなのに。

~アイバのアパート、同時刻~
(よく嫌な夢を見る、いつも同じ夢。)

(サヤちゃんがいない世界。)

(いなくなったのか、遠くにいるのか。)

(気づかないのか、元々存在しないのか。)

(みんないるのに、サヤちゃんだけがいない。)

(探しても、探しても、そこにはいつも黒い影があるだけ・・・)

(叫んでも声が届かない? )

(オレじゃ、つり合わない?つなぎ止めておけない?)


(言葉はどこへ向かうんだ?)

~各々のアパート、午後11時55分~
≪☎:あ、もしもし、遅くにごめん。≫
≪☎:ううん、眠れなくて。電話しようと思ってた。≫
≪☎:特に用はないんだけど・・・≫
≪☎:うん・・・≫
≪☎:・・・≫
≪☎:・・・≫
≪☎:・・・何か・・・不安でさ。≫

(つなぎ止めておきたいのに・・・)

≪☎:同じこと思ってた・・・≫

(つかまえていたいのに・・・)

≪☎:・・・≫
≪☎:・・・≫
≪☎:・・・あの・・・どこにも行かないでほしい。≫
≪☎:行かない。≫

(いつだって飾らない。)


≪☎:・・・私、ちゃんとつかまえてる?≫

≪☎:うん、ガッチリ!≫
クスッ

(その感性は計れない、いつだって際限(さいげん)なく(あふ)れ出す。)

≪☎:不安になるのは、真剣に向き合ってるから・・・かな?≫
≪☎:うん。≫

(そういうところ、いちばん好き。)


≪☎:つまずいたっていいよね、自分で歩いてる証拠だもん。≫

≪☎:うん。≫

(好きだよ、そういうとこ。)

≪☎:・・・≫

(毎日会えるなんて、いつでも話せるなんて、

これって奇跡の連続なのかもしれない。)

≪☎:・・・≫

(「つり合うかどうか」じゃない、「支え合えるかどうか」だ。)

≪☎:ねェ、知ってる?≫
≪☎:ん?≫
≪☎:理想の相手って、

「一緒にいて楽しい人」よりも、

「離れてると淋しい人」の方がいいんだって。≫

≪☎:えッ!?じゃあ、誰だろ?≫
≪☎:コラッ!!≫
≪☎:クスッ、好きだよ。≫
≪☎:私も好き。≫

(相手の心の温かいところに気づく人。)

≪☎:・・・≫

(いくら不安でも、行き着く先は未来しかないんだ。)

≪☎:・・・≫

(生きてる以上、誰といたって少なからず傷を負うのかもしれない。)

(だったら傷つけられてもいいと思える人と一緒にいたい。)

(言葉の行き先は心が決める。)

≪☎:それじゃ・・・≫

≪☎:うん・・・≫

(いつだって変わらない、心の手触り。)

(不安になって、「やっぱり好きだ」って思い知る。)
(不安は戸惑いと一緒に

新しい「大好き」を連れて来る。)


(今夜は眠れそうにない・・・)
(今夜は眠れそうにない・・・)
~サヤの日記、午前0時40分~
1月○日(○)


あの日、あの時、あの場所にたどり着いたのは偶然。

それまでは未来なんてなかった。


見つけてくれてありがとう。

(あなたが分けてくれた抱え切れないくらいたくさんの光、

もう、こぼれ落ちそう・・・)

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登場人物紹介

【アイバ タケル】

主人公

大学(聖南大学)進学のために新潟から上京

高校時代は野球部(3軍)に所属

牡羊座、A型、右利き

【フジイ サヤ】

ヒロイン

アイバと同学年

大学(月ケ丘女子美術大学)進学のために長崎から上京

獅子座、A型、右利き

【コジマ ミナミ】

ヒロイン2

アイバと同学年

大学(聖南大学)に進学し、地元東京の自宅から通学

蠍座、B型、右利き

【オヤナギ マリ】

アイバと同学年

大学(聖南大学)進学のために愛知から上京

蠍座、O型、左利き

【クノ ミチヒコ】

アイバと同学年

大学(聖南大学)に進学し、千葉から通学

彼女あり

双子座、AB型、右利き

【ハセガワ ヤスシ】

アイバと同学年

大学(聖南大学)に進学し、埼玉から通学

牡牛座、A型、右利き

【キタジマ アスカ】

フジイ、アイバと同学年

大学(月ケ丘女子美術大学)に進学し、地元東京の自宅から通学

射手座、O型、右利き

【イシハラ ケイタ】

アイバの高校時代の同級生

大学(慶泉大学)進学のために新潟から上京

高校時代は野球部(1軍)に所属

乙女座、B型、右利き

【フユシバ カズト】

フジイの高校時代の先輩

大学(慶泉大学)進学のために長崎から上京

有名写真愛好団体の1つである鳴桜会(メイオウカイ)に所属

蟹座、AB型、左利き

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