第26話

文字数 284文字

 私は目の前で倒れていくかなたの姿を、まるで夢でも見ているかのようにして視界に収めていた。

「――かなた!?」

 この瞬間、かなたの周りの景色が、私には真っ白に見えた。
 ドン! という、コートには似つかわしくない鈍い音とその光景に茫然となった後、私は瞬きするのも忘れて駈け寄る。

「救急車!…… 早く!!」

 コートサイドの皆も、一斉にコートの中へと押し寄せ、彼の容態に色を失う。

「かなた!?」

 見ればかなたは、苦しみの表情で意識を失っていた。

「しっかりして!!」

 そしてかなたは、そのまま救急車に乗せられて、通院する病院へと運ばて行った――
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