フクロウ娘

文字数 1,024文字

 昔々、とても変わった女の子が、ユーコン川という大きな川のほとりにある小さな村に住んでいました。
 この小さな女の子は、ほかの子供たちと遊ぶのに興味がありませんでした。実際、その子は一日中、石でできた小屋の中に座って、眠っていました。
 ですが日が暮れてくると、女の子はほどなく目を覚まします。そして遊ぼうと川岸へと飛び出て来て、大きな声をあげたり笑ったりするのでした。
 その子は暗闇を嫌がりませんでした。むしろ、太陽は自分の目を痛めるので、暗闇のほうがずっとよくものが見えるのだと宣言しました。
 その子のお母さんは、変わったところはたくさんあるけれど、とても賢い子だと言いました。大人たちが聞いたこともないようなことをたくさん知っていたのです。
 村の人たちは首を横に振りました。それはすべて魔法であって、いつかきっと奇妙なできごとが起きるのだろうと言うのです。
 だから、日が暮れて小さな女の子が川に向かって大声をあげながら走って言ったとき、村人たちは藪に隠れて見守っていました。
 そして思ったとおり、とても不思議なことが起きたのです!
 ある夜、大きな瞳を輝かせた小さな女の子は、大きな声をあげながら川辺に生えている木々の間を走り抜けていました。
 女の子は小さな野ネズミを追いかけていましたが、野ネズミは怯えながらもついには低い木の枝を駆け上がって、暗がりの中に姿を隠してしまいました。
 ですが小さな変わった女の子は、暗闇でもとても良く見えたので、飛び上がってネズミを追いかけました。
 そして、なんということでしょう、小さな女の子は長い長いクチバシと、大きな輝く目をした鳥に変わったのです!
 自分の身に何が起きたのかわかった女の子は、怖くなりました。女の子は、お母さんの石の小屋まで空を飛んで戻りました。
 ですが、今の女の子は鳥の姿で、ドアや窓のことを憶えていませんでした。女の子は石でできた小屋の壁に、乱暴に飛びかかりました。
 その勢いがとても強かったので、女の子の身体は壁に強く叩きつけられました。長いクチバシと顔は、そのせいで平べったくなってしまいました。
 女の子はお母さんの家のことを忘れ、痛みの中、川辺の木のもとへ飛んで戻りました。
 次の日の夜、小さな変わった娘の声が、葉っぱの中からお母さんに聞こえてきました。「だあれ(フーフーフー)!」
 ですが、お母さんがそちらを見ても、平たい顔と大きな目の鳥が、哀れな野ネズミを夕食にしているところが見えるだけでした。
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