陽気なヒバリの歌

文字数 1,281文字

 あるとき、年老いた灰色の雌猫が、牧場へとやってきました。そこで雌猫は、一羽の陽気なヒバリが背の高い葦の間を飛んでいるのを見かけて、言いました。「小さいヒバリさん、どこへ行くんだい?」
 すると陽気なヒバリはこたえました。「王様のところへ行って、すてきな五月の朝の歌を歌ってあげるんだ」
 すると雌猫は言いました。「おいで、小さなヒバリさん。そうしたら私の首にはまった素敵な首輪を見せてあげよう」
 ですがヒバリは言いました。「いいえ、いいえ、灰色猫さん、ダメ、ダメです! あなたは小さなネズミたちを噛み千切りましたが、私のことは噛み千切らせません」
 そしてヒバリは飛んで行って、高いナラの木のてっぺんを通りかかりました。すると、灰色の欲張りなタカが留まっているのに気づきました。そして、灰色の欲張りなタカは言いました。「どこへ行くんだい、可愛いヒバリさん?」
 するとヒバリは答えました。「王様のところへ行って、すてきな五月の朝の歌を歌ってあげるんだ」
 すると灰色の欲張りなタカは言いました。「こっちへおいで、小さなヒバリさん。そうしたら、俺の翼の綺麗な羽根を見せてあげよう」
 ですが、陽気なヒバリは言いました。「いいえ、いいえ、欲張りなタカさん、ダメ、ダメです! あなたは小さなムネアカヒワをついばみましたが、私のことはついばませません」
 そしてヒバリは飛んで行って、岩の傍らへとやってきました。するとそこに、ずるがしこいキツネが座っているのに気づきました。そして、ずるがしこいキツネは言いました。「どこへ行くんだい、優しいヒバリさん?」
 するとヒバリは答えました。「王様のところへ行って、すてきな五月の朝の歌を歌ってあげるんだ」
 するとずるがしこいキツネは言いました。「こっちへおいで、小さなヒバリさん。そうしたら、僕の尻尾の白い模様を見せてあげよう」
 ですがヒバリは言いました。「いいえ、いいえ、ずるがしこいキツネさん、ダメ、ダメです! あなたは小さな子羊を噛み千切りましたが、私のことは噛み千切りらせません!」
 そしてヒバリは飛んで行って、王様の庭へとやって来ました。そしてアカツメクサの花の間に座って、一番すてきな歌を歌いました。
 そして、王様は王妃様に言いました。「何をしてあげるのが、あのすてきな歌を歌ってくれた小さなヒバリにふさわしいだろう?」
 すると、王妃様は王様に言いました。「思うのですが、この小さなヒバリのために五月祭りの祝いを開催して、それからコマドリを招待していっしょに歌ってもらいましょう」
 そして、明るいコマドリがやってきて、ヒバリといっしょに歌いました。
 そして王様と王妃様、それに洗練された貴族たちや貴婦人たちが、小さな鳥たちの歌にあわせて楽しく踊りました。
 そのあとで、ヒバリは自分の緑の牧場へと飛んで帰りましたが、そこでは灰色の年老いた雌猫が背の高い葦の間にまだいたのでした。

訳者補足:王様と王妃様が出てくるということは、アメリカが舞台ではなさそうなので、 robin はコマドリだと判断。
 最後の一行は個人的にはいらない……。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み