『せせらぎ』、それはかけがえのない存在
文字数 792文字
『せせらぎ』は、『さえずり』が最も信頼
していた相手。
すべてを委 ねることができるほどの存在で
あった。
『さえずり』にとって、『せせらぎ』は
すべてだったのである。
『せせらぎ』の死。
その死と同時に『さえずり』の心を蝕 む
孤独。
願い叶わぬ人生に絶望し、祖国を捨てる
決心をした『さえずり』。
『せせらぎ』が死んだら、『さえずり』は
祖国に帰還しなければならなかった。
地球にいられるのは『せせらぎ』が生きて
いる間だけ。
それを条件に、人間として転生し、この地
に降り立つことを許された。
それが、≪月界帝国≫皇帝の娘、
『さえずり』であった。
帝国に戻れば、意に沿わぬ結婚を強いら
れ、もはや自由はない。
説得すれども聞く耳を持たぬ父の下 では、
もうこれ以上生きていきたくはなかった。
そんな愚 かな慣習に従うつもりも
なかった。
死んだ『せせらぎ』の魂は、やがて帝国に
戻り、その瞬間、自らも帝国へと連れ戻され
ることはわかっていた。
地上のどこにいようと、帝国から派遣され
た使者の居所はすぐに把握されてしまう。
常に護衛 に監視 されているのだ。
唯一、帝国からの監視の目が届かない場所
を『さえずり』は知っていた。
(あの洞窟 に急がねば。
もう、『せせらぎ』とは逢えない。。。
帝国に戻ればいつかは再び逢えることも
あろう。
だが、けっして結ばれることはない。
ならば人間として生涯を送り、いつの日か
また人間として転生する。
自分はその道を選ぶ。
帝国との縁を絶ち、帝国の使者でもなく、
ただひとりの人間として生まれたい。
自分もそう長くはない。
この洞窟 で、命尽き果て、屍 になるその
時を待てばよい。)
次第に遠のく意識の中で、目に浮かぶの
は、優しかった祖母や母の姿、いつも傍 らに
いてくれた『せせらぎ』の姿だけであった。
一瞬目の前が真っ暗になり、いよいよ自分
にも死が訪れるのか。。。
そう思った瞬間。。。
していた相手。
すべてを
あった。
『さえずり』にとって、『せせらぎ』は
すべてだったのである。
『せせらぎ』の死。
その死と同時に『さえずり』の心を
孤独。
願い叶わぬ人生に絶望し、祖国を捨てる
決心をした『さえずり』。
『せせらぎ』が死んだら、『さえずり』は
祖国に帰還しなければならなかった。
地球にいられるのは『せせらぎ』が生きて
いる間だけ。
それを条件に、人間として転生し、この地
に降り立つことを許された。
それが、≪月界帝国≫皇帝の娘、
『さえずり』であった。
帝国に戻れば、意に沿わぬ結婚を強いら
れ、もはや自由はない。
説得すれども聞く耳を持たぬ父の
もうこれ以上生きていきたくはなかった。
そんな
なかった。
死んだ『せせらぎ』の魂は、やがて帝国に
戻り、その瞬間、自らも帝国へと連れ戻され
ることはわかっていた。
地上のどこにいようと、帝国から派遣され
た使者の居所はすぐに把握されてしまう。
常に
唯一、帝国からの監視の目が届かない場所
を『さえずり』は知っていた。
(あの
もう、『せせらぎ』とは逢えない。。。
帝国に戻ればいつかは再び逢えることも
あろう。
だが、けっして結ばれることはない。
ならば人間として生涯を送り、いつの日か
また人間として転生する。
自分はその道を選ぶ。
帝国との縁を絶ち、帝国の使者でもなく、
ただひとりの人間として生まれたい。
自分もそう長くはない。
この
時を待てばよい。)
次第に遠のく意識の中で、目に浮かぶの
は、優しかった祖母や母の姿、いつも
いてくれた『せせらぎ』の姿だけであった。
一瞬目の前が真っ暗になり、いよいよ自分
にも死が訪れるのか。。。
そう思った瞬間。。。
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