12:暗闇の旅館の探索 その2

文字数 2,636文字




 荷物置き場には、時津、くるみ、タケルとすみれの4人がいます。


 そこには、ボロボロのリュックやバッグ、スーツケース、そして忘れ物などがありますが、一見しておかしなものが入っている様子はありません。




時津 サイ:

くるみちゃんさあ、女将さんと話してたじゃない?

くるみ:

うん

時津 サイ:

旅館について何かきいたりしなかった?

くるみ:

女将さんと話したのは~……


名前をきいたのと、旦那さんが板さんってことと、先代の女将さんがいるけど今日はたまたま出掛けてていないんだよって話を聞いたかな

時津 サイ:

旦那さんが板さん……ふむふむ


わたしは厨房に行ってみたいな

旦那さんが板さんなら厨房に何かあったりしないかな

くるみ:

じゃ行ってみるか

ここ何も無いし

柴山 タケル:

じゃあ俺たちも行くよ

時津 サイ:

やったー




 時津とくるみの話を聞いていたタケルとすみれも厨房についてくることになりました。







 本立てを調べていた三人。

 新聞紙と古文書の内容はまったく一緒でした。


 楠木は手帳も持ち歩くことにしました。




楠木 甚之介:

外を見に行きますか?

瀬川 鉄人:

外の景色も変わってるのか見たいですね

外が見れる場所を探しに




 もなが宴会場前の廊下に窓があることを知っていたので、もな、瀬川、楠木の三人はそちらへ向かいました。




 廊下にやって来て窓を見ると、そこの窓も割れていますが、風は入ってきません。窓の外には森が広がっています。




河上 もな:

ここから出られない?




 瀬川は割れた窓から恐る恐る手を出してみます。


 窓の向こうには何か見えない壁でもあるかのように、手が阻まれてしまいました。

 いくら強く押してもそれ以上手を出すことはできません。




KP:

そのような光景を見た3人は【SAN値チェック】です

瀬川 鉄人【SANチェック】⇒ 成功

楠木 甚之介【SANチェック】⇒ 成功

河上 もな【SANチェック】⇒ 失敗

KP:

後ろで見ていただけの人は成功で0、失敗で1d2なんですけど、瀬川さんは成功しても1確定です

河上 もな【1d2】⇒ 1

瀬川 鉄人:

見えない何かで外に手が出せないぞ

河上 もな:

何か昔のゲームみたい




 そう呟いたもなは若干震えています。




楠木 甚之介:

ゲームじゃないしなあ

瀬川 鉄人:

夢か?

楠木 甚之介:

外に出られないってことなんですかね

瀬川 鉄人:

玄関の扉が開かなかったこともこれが原因なのか?

楠木 甚之介:

そうかもですね

楠木 甚之介:

どうします? 人を探しますか?

KP:

3人は【聞き耳】をどうぞ

楠木 甚之介【聞き耳】⇒ 失敗

河上 もな【聞き耳】⇒ 成功

瀬川 鉄人【聞き耳】⇒ スペシャル




 もなは女湯の方向から何か微かに音がしたような気がしました。

 瀬川には確実に女湯から音がしたことが分かりました。




瀬川 鉄人:

何か今、女湯から物音したよね?

河上 もな:

そっちから聞こえましたね

楠木 甚之介:

女湯って空いてましたっけ?

時間で男性になったり女性になったりしてましたよね

瀬川 鉄人:

中に入ることはできるんじゃないですか?

消灯時間で締め切られてるかもしれないですけど

瀬川 鉄人:

(1個試してみたい

物も外に出せないのか?)




 楠木ともなは女湯へと進んでいる後ろで、瀬川は持っていたシャープペンシルを窓の外に出してみました。


 すると、シャープペンシルの先がバキッと折れました。




瀬川 鉄人:

えっ

KP:

この状況に理解が追い付かない瀬川さんは【SAN値チェック】です

成功で0,失敗で1です

瀬川 鉄人【SANチェック】⇒ 成功




 瀬川は予想ができていたので、少しは驚いたもののそこまでのショックは受けませんでした。




瀬川 鉄人:

二人を追いかけよう




 すぐに楠木ともなを追いかけました。







 厨房。

 懐中電灯で照らしながら中に入ってみると、大変ひどく荒れていました。




KP:

そこから物を何か探すということであれば【目星】です

くるみ【目星】⇒ 成功

時津 サイ【目星】⇒ 成功

KP:

二人とも優秀




 時津とくるみは調理台の上に、錆びてはいますがまだ使えそうな「肉切り包丁」を見付けることができました。




くるみ:

凶器




 さらに、肉切り包丁のすぐ近くにメモが落ちていました。

 どうやら夕飯のメニューの一覧のようです。部屋に夕飯を届けるため、部屋の番号と宿泊客の名前が書いてあります。

 しかし、あなたたちの名前と部屋の番号は書かれていませんでした。



 裏を見ると、文字が滲んでいてすべては読めません。


「宴会場、し    く 様」


と書いてあることだけが読み取れました。




時津 サイ:

くるみちゃん、宴会場のほう見てみた?

くるみ:

見てない

時津 サイ:

覚えないよね

お風呂入るときに近くを通ったくらいか

誰か人いたのかな

時津 サイ:

宴会場に誰かいたか見ました?




 時津はタケルとすみれにメモを見せて尋ねました。




佐倉 すみれ:

宴会場のほう、誰かいた気がします

「貸切中」とは書いてましたね




 タケルは痛そうに頭を押さえ、俯いています。




時津 サイ:

どうかしました? 大丈夫ですか?

柴山 タケル:

いや、何でもない

時津 サイ:

何でもないならいいですけど、無理はしないように

時津 サイ:

そういえば自分たち以外で他の人に会ったのってこの二人だけだね

くるみ:

こうなってから?

時津 サイ:

こうなる前も

くるみ:

女将と、厨房に人いたよ

活き造りをくれた

時津 サイ:

活き造りをくれた?

よく分からないけど

くるみ:

そうそう、もなちゃんが食べてて~

厨房に二人いて、宴会場にスタッフが何名かいるって女将が言ってた

時津 サイ:

ということはやはり宴会場に人がいたのかな

くるみ:

この肉切り包丁って、持ってく?

どっちが持つ?

時津 サイ:

持っておいたほうがいいかもね

くるみ:

持っていけば誰かが使うかもしれないし、とりあえずわたしが持つ

時津 サイ:

怪我しないようにね

くるみ:

厨房にありそうな物で欲しい物ある?

鍋とかフライパンとか持ってったら盾になったりする?

時津 サイ:

そうねえ、とりあえず肉切り包丁持ってればいいかな

必要なときに取りに来ればいいんじゃない?

くるみ:

じゃあ厨房から出ようか

出てどこに行く?

時津 サイ:

そうねえ……

くるみ:

男湯行ってなくない?

時津 サイ:

男湯はまったく行ってないけど、メモを見ると宴会場が気になるね

くるみ:

行ってないから男湯行っとく?

時津 サイ:

…………そうねえ、ボイラー室か男湯だろうね、すぐ横だし

男湯のほうに向かってみよう




 くるみは肉切り包丁を携えて、時津と男湯に向かいます。タケルとすみれもついてきます。




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登場人物紹介

瀬川 鉄人(せがわ てつひと)

漫画編集者。河上もなの編集。

もなの父からの信用はあまりない。

河上 もな(かわかみ もな)

漫画家。編集担当は瀬川。

専門学校生だが漫画家業のほうにのめり込み学校を休みがち。

あまり人の目を気にしないマイペース。

時津 サイ(ときつ さい)

普段は冷静だが緊急事態によく転倒する。

楠木甚之介,くるみとは飲み仲間。

楠木 甚之介(くすき じんのすけ)

骨董店の店主。

着流しを着こなす温厚な紳士。二十代にして老成した感がある。

時津サイ,くるみとは飲み仲間。

くるみ

トラック運転手。

女子力を失いたくないと思っている。

時津サイ,楠木甚之介とは飲み仲間。

しゃりんさん(キーパー)

初心者ぞろいのプレイヤーたちを真理へと導こうとする天の声。

ダイス

佐倉 すみれ(さくら すみれ)

宿泊客の一人。

柴山 タケル(しばやま たける)

宿泊客の一人。

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