14:赤い魔法陣

文字数 2,737文字

楠木 甚之介:

くるみちゃんの様子が……

包丁どうしたんですか

瀬川 鉄人:

ギャーッ! 包丁!




 あなたたちは、厨房で肉切り包丁やメモ帳を見付けたこと、女湯に女将らしきものがいたことを互いに伝え合いました。




楠木 甚之介:

これは、殺しに行くかんじですか?

瀬川 鉄人:

早く女湯から離れたい……

くるみ:

戦わなくて済むんだったら戦いたくない

時津 サイ:

もう出てこないんですよね?

楠木 甚之介:

(タケルくんとすみれさんはどんな反応なんだろう)

佐倉 すみれ:

そんなオバケなんているわけないじゃないですか

驚かさないでくださいよ

柴山 タケル:

オバケがいたってお前を守ってやるよ

くるみ:

(ほう)

時津 サイ:

(あら、イケメン)

瀬川 鉄人:

(俺を守ってよ)

河上 もな:

じゃあ行ってきていいよ

くるみ:

また険悪なムードになるから

時津 サイ:

出てこないなら行かなくていいじゃない

見える範囲では何も無かったんでしょう?

瀬川 鉄人:

すぐ閉めちゃって

くるみ:

何も見てないの?

瀬川 鉄人:

(思い出せるかな)

瀬川 鉄人【アイデア】⇒ 成功




 瀬川はあの状況の中でもちゃんと周りを見ていました。

 女湯の浴場は特に変わった様子も無く、異様なのは化け物になってしまった女将だけだったことを思い出しました。




瀬川 鉄人:

意外と僕冷静で

時津 サイ:

偉い

くるみ:

サスガ編集

くるみ:

宴会場、行く?

時津 サイ:

宴会場ね、気にはなるんだよね

くるみ:

メモも見付けたし

「宴会場、し    く 様」だっけ

くるみ:

あ、宴会場に書いてあるんじゃないの?

「○○○様御一行」みたいな

瀬川 鉄人:

書いてあるかもですね

楠木 甚之介:

じゃあ宴会場のほうに行きますか

KP:

もなちゃんは【アイディア】かな

河上 もな【アイデア】⇒ 成功




 もなは思い出しました。

 昼間に宴会場の前を通ったときに、看板には「現在貸切中」としか書かれていませんでした。




時津 サイ:

さっきすみれちゃんが言ってたことと同じね

くるみ:

宴会場の前で中の様子を【聞き耳】するっていうのは?

広いし開けるの恐くない?

時津 サイ:

恐い

楠木 甚之介:

宴会場の扉は閉まっているのかな

見に行きます?

河上 もな:

なるべく後ろのほうにいます

瀬川 鉄人:

女湯を警戒し続けます

くるみ:

わたしは肉切り包丁とスマホのライトがあるので先行します

楠木 甚之介:

自分もビビりながら後ろのほうに

くるみ:

男子!

瀬川 鉄人:

女湯でアレを見たんだぞっ

楠木 甚之介:

流石に見たからちょっと……




 あなたたちはくるみと時津を先頭にして、宴会場に向かいました。







 宴会場の前にやって来ると、そこには「現在貸切中」と書かれた看板がありました。しかし、その看板は昼間見たときと比べてとても古くなっていることに、もなは気付きました。


 扉には、赤い何かで魔方陣が描かれていました。

 そして無理矢理付けたであろう錠前があり、開けることはできません。




くるみ:

錠前……

時津 サイ:

ヨシ、戻ろうか

くるみ:

【聞き耳】しないの?

時津 サイ:

する~?

くるみ:

どうせ開かないけどね、錠前ついてるんだもんね

時津 サイ【聞き耳】⇒ 成功

瀬川 鉄人【聞き耳】⇒ 成功




 時津と瀬川には、中の様子を伺おうと聞き耳を立てました。

 酔っ払った人の声やわーわー騒ぐ声などガヤガヤと楽しそうな声が中から聞こえてきます。


 瀬川はそれを楠木に伝えました。




瀬川 鉄人:

何かえらい楽しそうな声が中から聞こえてきます

楠木 甚之介:

誰かいるってことですよね

瀬川 鉄人:

それにしても奇妙というか……

時津 サイ:

(しゃべっちゃったか

できれば伝えたくないんだけど

タケルくんとすみれちゃんが開けようと言ったときが恐い)

河上 もな:

やめて! 聞きたくない!




 もなは耳を塞いでしゃがみ込んでしまいました。




くるみ:

何か聞こえた?

時津 サイ:

う~ん

くるみ:

言いたくない?

言いたくないならいいよ

KP:

言う前に時津さん【アイデア】振ってください

時津 サイ【アイデア】⇒ スペシャル




 時津は先程フロントで何か物音がしないかしっかりと聞き耳を立てて、確かに無音であったことを思い出しました。なぜあの時、宴会場の大騒ぎの声が聞こえてこなかったのか、ということに気が付きました。




時津 サイ:

最初降りてきたときに何も聞こえてこなかったでしょ

くるみ:

うん

時津 サイ:

今も何も聞こえないよね?




 時津は「どうしますか」という視線を瀬川に向けます。




瀬川 鉄人:

……………………。

特に何も聞こえなかったかな

時津 サイ:

【聞き耳】をしたかんじではすごく嫌な感じがする

普通にやってても聞こえない音が聞こえたのよ




 ガタッ。


 あなたたちはどうしようかと話し合って考えていたところ、タケルは青白い顔をしていました。汗をかき、立っているのもやっとの様子です。

 その場にいたくないのか、突然駆け出してフロントのほうへ走って行きました。




佐倉 すみれ:

タケルくん!?




 すみれはタケルの後を走って追い掛けていきました。


 時津は耳を塞いでいるもなの肩を叩いてから、二人を追い掛けることにしました。

 瀬川はもなの手を引いて時津のすぐ後を追います。楠木は歩いており、それを心配したくるみは楠木と共にフロントに向かいました。




くるみ:

(楠木さん丸腰だからな)







 ロビーではタケルが四つん這いになっており、すみれが背中をさすっています。時津はタケルに駆け寄ります。




佐倉 すみれ:

大丈夫? 大丈夫?

時津 サイ:

大丈夫ですか?

柴山 タケル:

ああ、大丈夫だ……

だけど俺はあそこには行けないと思う

なぜかあそこに行くと気分が悪くなって頭も痛い……

もうあそこには近付きたくない

時津 サイ:

さっき厨房でも具合悪そうだったけど、それと同じ感じ?

柴山 タケル:

ああ、実はそうなんだ

向こうに近付くとどんどん気分が悪くなる




 時津とタケルが話しているところに、瀬川ともなが追い付きました。




瀬川 鉄人:

大丈夫ですか?

時津 サイ:

宴会場に向かうと調子が悪くなるらしいです

できれば近寄りたくないらしいから、あっちのほうの探索には連れて行かないほうがいいかも




 くるみと楠木が追い付いた頃には、タケルくんは立ち上がり、具合はだいぶ良くなった様子です。

 時津は瀬川に話したようにくるみと楠木にも伝えました。




時津 サイ:

すみれちゃんは大丈夫?

佐倉 すみれ:

わたしは大丈夫です

大丈夫? タケルくん




 すみれはずっとタケルを心配そうに見ています。




くるみ:

今ふと思ったんですけど、この少年少女の関係ってきいた?

瀬川 鉄人:

きいてないんじゃないですか

くるみ:

親戚なのか恋人なのか、きいてないのですが、きいておいたほうがいい?

時津 サイ:

タイミングよ……

くるみ:

ふと思ったの

二人でいるのにタケルくんだけ具合が悪くなるのかーって

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登場人物紹介

瀬川 鉄人(せがわ てつひと)

漫画編集者。河上もなの編集。

もなの父からの信用はあまりない。

河上 もな(かわかみ もな)

漫画家。編集担当は瀬川。

専門学校生だが漫画家業のほうにのめり込み学校を休みがち。

あまり人の目を気にしないマイペース。

時津 サイ(ときつ さい)

普段は冷静だが緊急事態によく転倒する。

楠木甚之介,くるみとは飲み仲間。

楠木 甚之介(くすき じんのすけ)

骨董店の店主。

着流しを着こなす温厚な紳士。二十代にして老成した感がある。

時津サイ,くるみとは飲み仲間。

くるみ

トラック運転手。

女子力を失いたくないと思っている。

時津サイ,楠木甚之介とは飲み仲間。

しゃりんさん(キーパー)

初心者ぞろいのプレイヤーたちを真理へと導こうとする天の声。

ダイス

佐倉 すみれ(さくら すみれ)

宿泊客の一人。

柴山 タケル(しばやま たける)

宿泊客の一人。

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