14:赤い魔法陣
文字数 2,737文字
あなたたちは、厨房で肉切り包丁やメモ帳を見付けたこと、女湯に女将らしきものがいたことを互いに伝え合いました。
瀬川はあの状況の中でもちゃんと周りを見ていました。
女湯の浴場は特に変わった様子も無く、異様なのは化け物になってしまった女将だけだったことを思い出しました。
もなは思い出しました。
昼間に宴会場の前を通ったときに、看板には「現在貸切中」としか書かれていませんでした。
あなたたちはくるみと時津を先頭にして、宴会場に向かいました。
宴会場の前にやって来ると、そこには「現在貸切中」と書かれた看板がありました。しかし、その看板は昼間見たときと比べてとても古くなっていることに、もなは気付きました。
扉には、赤い何かで魔方陣が描かれていました。
そして無理矢理付けたであろう錠前があり、開けることはできません。
時津と瀬川には、中の様子を伺おうと聞き耳を立てました。
酔っ払った人の声やわーわー騒ぐ声などガヤガヤと楽しそうな声が中から聞こえてきます。
瀬川はそれを楠木に伝えました。
もなは耳を塞いでしゃがみ込んでしまいました。
時津は先程フロントで何か物音がしないかしっかりと聞き耳を立てて、確かに無音であったことを思い出しました。なぜあの時、宴会場の大騒ぎの声が聞こえてこなかったのか、ということに気が付きました。
時津は「どうしますか」という視線を瀬川に向けます。
ガタッ。
あなたたちはどうしようかと話し合って考えていたところ、タケルは青白い顔をしていました。汗をかき、立っているのもやっとの様子です。
その場にいたくないのか、突然駆け出してフロントのほうへ走って行きました。
すみれはタケルの後を走って追い掛けていきました。
時津は耳を塞いでいるもなの肩を叩いてから、二人を追い掛けることにしました。
瀬川はもなの手を引いて時津のすぐ後を追います。楠木は歩いており、それを心配したくるみは楠木と共にフロントに向かいました。
ロビーではタケルが四つん這いになっており、すみれが背中をさすっています。時津はタケルに駆け寄ります。
時津とタケルが話しているところに、瀬川ともなが追い付きました。
くるみと楠木が追い付いた頃には、タケルくんは立ち上がり、具合はだいぶ良くなった様子です。
時津は瀬川に話したようにくるみと楠木にも伝えました。
すみれはずっとタケルを心配そうに見ています。