06:旅館でのひととき その3
文字数 2,506文字
着替えを済ませたもなはくるみにドライヤーを届けて、館内をぶらりとすることにしました。
もなは1階の宴会場の前までやってきました。
宴会場はどこかの家が使っているらしく「現在貸切」と書かれた看板が立っており、両引き戸の扉は閉まっていました。
もなが扉に聞き耳を立ててみると、中からはどんちゃん騒ぎの楽しそうな声が聞こえてきます。今ここに入っていくと邪魔になってしまいそうです。
厨房の中を見てみると、板前さんが二人いました。一方がもう一方へ指示を出し、忙しそうに朝の仕込みをしているようです。
板前さんは生け簀から魚を取り出し、活き造りを作ってくれました。
もなは板前さんの技術に見とれてしまい、シャッターのタイミングを逃してしまいました。活き造りの写真はちゃんと撮れましたが、調理中の写真を撮ることは忘れてしまいました。
板前さんは活き造りを皿に盛り、もなに渡してくれました。
板前さんが簡易な机と椅子を用意してくれたので、もなはその場で活き造りを食べることにしました。
着替えを終えた時津とくるみは自動販売機へ向かいました。
そこでコーヒー牛乳を買っている瀬川と楠木と鉢合わせしました。
瀬川が4人分のコーヒー牛乳を買ってくれたため、みんなで揃って飲みました。
熱中症を恐れているくるみはみんなに飲み物を買うことを勧めます。
4人はそれぞれ、外出時に持っていくために飲み物を買いました。
くるみは女将さんの旦那さんを探しに厨房を覗きに行くことにしました。
瀬川は、もなが好きなジュースを買い、くるみの後について厨房に向かいました。
時津がロビーにある本立てに向かおうとすると、楠木に話しかけられました。
時津と楠木は一緒にロビーにある本立てに向かいました。
楠木が古書や新聞の内容を話してくれたので、時津はさほど時間をかけずに自分でも古書と新聞に目を通すことができました。
厨房。
くるみと瀬川が厨房にやってくると、もなが小さなテーブルで美味しそうな活き造りを食べている最中でした。板前さんはそれを満足そうに見守っています。
板前さんはまた生け簀から魚を出し、活き造りを用意してくれました。
目の前で作ってくれたので新鮮で大変美味しい活き造りでした。
そう言って板前さんは仕事に戻りました。
三人は厨房を後にしました。
瀬川は荷物置き場のほうをチラッと見てみました。そこには宿泊客の荷物がいくつか積み重ねてありました。
瀬川は荷物をよく見てみようと思い一歩踏み出しましたが、足がもつれて顔面から床に転倒しました。
もなは絆創膏を持っていたので、瀬川の額に貼ってあげました。