03:おじいさんの昔話
文字数 4,935文字
もなは脱衣所のほうで着替えを済ませ、ドライヤーをちゃんと準備して温泉の中へと入ります。
温泉は大変広くて檜風呂になっており、ゆっくり浸かれそうです。
時津、くるみ、もなの三人はほぼ同時に浴場のなかへ入りました。そして何となく一緒に湯船に浸かりました。
もなは怪しい視線を感じましたが、あまり人の目を気にしない性格なので無視しました。
ゆっくりと一人で温泉を堪能します。
くるみは時津とヒソヒソと会話を始めました。
すぐ近くに温泉の注ぎ口がありわーわーと音がしており、湯船のリラックスも相俟って、もなは音など全部聞こえない状態です。不安もなく何も悩みも無くゆっくりと浸かっています。
くるみは怪しくなりすぎてしまうので見てはいけないと思い、チラッチラッとしか見れませんでした。
時津はくるみが何でそんなに見るんだろうと興味を持ちました。もなを見てみると、見た目の感じだと大体19歳くらいだなと思いました。
時津はもなに声をかけました。
時津はそっと顔を伏せました。
くるみは小さな声でボソッと言いましたが時津には聞こえていました。二人は小さな声で話し合います。
それを聞いたもなはすごくテンションが上がった様子です。
くるみはもなを強引に誘います。
時津、くるみ、もなの3人は、ご飯を食べた後、夜空を見に行く約束を取り付けました。
休憩所。
瀬川さんが休憩所に入ると、中には一人おじいさんが座っていました。その人はゆっくりとジュースを飲みながら持ってきた本を読んでいます。
ここの霊山と呼ばれる山の麓には昔、小さな村があったんだが、その村は山に住む怪物の脅威に怯え、生け贄を渡していたそうだ
何でも丁度今頃かな、夏になると怪物が村に下りてきて村の人間を襲うから、それを阻止する為に生け贄を渡す代わりに村を襲わないという取引をしていたらしい
この山にその怪物を封印し、どうにか村はもう生け贄を渡す必要は無くなったそうじゃ
その封印をする儀式なんじゃが、何て名前だったかな……
まあ忘れたんじゃが、或る一族がその怪物を封印し、何十年も続いた生け贄の風習に終止符を打つことができたんじゃ
そういった昔話を瀬川はおじいさんから聞かせてもらいました。
そうしておじいさんは休憩所から出て行きました。
ロビー。
瀬川が本立てを見に行ったところ、丁度一緒にこの旅館に来た男性がロビーで室内の調度品とかを見て回っているのを見かけました。
瀬川は、本立てに近付きながらその男性の様子を見ています。
調度品を眺めていた楠木も、奥のほうから男性が一人歩いてくるのを見付けました。
本立てに先に近付いた瀬川様子を伺いながら、楠木も本立てに向かいます。
本立てに先に近付いた瀬川様子を伺いながら、楠木も本立てに向かいます。
瀬川が小さな本立てを見ると、新聞紙が二つあり、もう一つ古書のような物が置いてありました。
瀬川は時間をかけることもなく古書を読み解くことができました。
古書の内容は、先程の昔話の内容も一部書いてありました。さらに読み進めていく内にこの周辺には昔、村があったことが分かりました。
そこには村人たちの名前の一覧が書かれています。
家系の人たちの名前が何十年にも渡って書き記されているのか、一つの名字につきたくさんの名前が下に続いています。
その中で太字で漢数字の「一」と書かれている名字に瀬川は目が行きます。
瀬川は日本語に精通しているのか、その漢字を知っていたのか、その「一」と書いてあるのが「にのまえ」と読むことが分かります。
その「一」という名字の列の下に書かれている名前を見ていくと、他の村人たちの名前と違い、記されている名前の数が極めて少なく、さらに全員の名前の下に「様」と付いていました。
瀬川が古書を読み終わったところで楠木に声をかけられました。
瀬川は楠木に、おじいさんからきいた昔話や古書の内容などを伝えました。
瀬川は楠木に本を渡しました。
楠木は自分もその本に目を通します。事前に内容を教えてもらってたため、楠木は古書を読むことができました。
楠木が古書に目を通している間、瀬川は新聞を見てみることにしました。
2冊ある新聞はどちらも黄ばんでおり、だいぶ昔の物のようです。しかも、ところどころ破れたりにじんでいたりする為、日付の部分が分かりません。
いろいろ穴あきだらけで読みにくいのですが、瀬川が一冊の新聞紙で、或る記事が目に留まりました。
「惨劇!■■■にて殺人事件!」
先日春日市にある■■■にて何者かによって殺人事件が起こった。犯人は行方を眩ませており、現在捜索中である。
殺害の方法は謎に包まれており、犯人がどのようにして被害者たちを殺害したのかは分かっておらず、何か毒のような物を使ったのではないかという仮説が立った。
しかし被害者たちのなかには何か鋭いもので切り付けられたような痕がある者たちもいる為、現在逃走中の犯人は刃物を持っている可能性がある為、地域のかたたちには警察から注意が呼びかけられている。
もう一つの新聞紙のほうを見てみると、こちらは日付の部分を読むことができました。
2011年8月10日「捜査は難航。真相は闇の中」
■■■で起きた惨殺事件だが、捜査は難航している。
何でも捜査中に警官が行方不明になる、警官が発狂する、といったことが起こるらしい。
このことから、■■■周辺に逃走中の犯人が潜んでいる可能性があるとみて、立ち入り禁止区域として調査を進めるということである。
瀬川は自分が解読した部分を楠木に伝えました。
瀬川と楠木は、記事1が、記事2に書いてある 8月10日 以前のものであるということが分かりました。
二人が新聞を読み耽っているところに女性陣3人がロビーに向かってきます。