03:おじいさんの昔話

文字数 4,935文字

もなちゃんはドライヤー持参してます




 もなは脱衣所のほうで着替えを済ませ、ドライヤーをちゃんと準備して温泉の中へと入ります。


 温泉は大変広くて檜風呂になっており、ゆっくり浸かれそうです。


 時津、くるみ、もなの三人はほぼ同時に浴場のなかへ入りました。そして何となく一緒に湯船に浸かりました。




若干もなちゃんとは距離がある感じなんですけど、ゆっくりと湯船に浸かることはできます

何か話したりするんだったら全然話すことはできます

とりあえず、もなちゃんをちゃんと見ます

一緒に来てた人と援交なのかどうかをまだ疑ってます

あんまり見ないのよ




 もなは怪しい視線を感じましたが、あまり人の目を気にしない性格なので無視しました。

 ゆっくりと一人で温泉を堪能します。


 くるみは時津とヒソヒソと会話を始めました。




やっぱり若いよね。援交じゃないの?
相手のほうがいくつくらいかだよね、見た目じゃちょっと分かんなかったから
30前だよアレー
30前かあ
あの子ハタチくらいじゃない? 援交だよ
ハタチくらいかなぁ
ハタチは援交じゃないか
じゃあもなちゃん【聞き耳】どうぞw
河上もな【聞き耳】⇒ 失敗




 すぐ近くに温泉の注ぎ口がありわーわーと音がしており、湯船のリラックスも相俟って、もなは音など全部聞こえない状態です。不安もなく何も悩みも無くゆっくりと浸かっています。




(無)

じゃああまりに無な人を見ながらw

【目星】で年齢って見れます?

いいですよ【目星】振ってもらって

くるみちゃんも振ってもらっていいよ

くるみ【目星】⇒ 失敗

時津サイ【目星】⇒ 成功




 くるみは怪しくなりすぎてしまうので見てはいけないと思い、チラッチラッとしか見れませんでした。




よく見えないなー、歳はよく分からない




 時津はくるみが何でそんなに見るんだろうと興味を持ちました。もなを見てみると、見た目の感じだと大体19歳くらいだなと思いました。




ハッキリとはまあ勿論、きかないと分からないですけど
19くらいだと思うんだよね
さっきロビーのところで会いましたよね、観光ですか?




 時津はもなに声をかけました。




きくぅ?
いや、気になるでしょ?w
いえ、観光って言うかー、取材です
取材? 何の取材ですか?
ちょっとした漫画家みたいなことやっててー、マンガに使う資料を集めに来たんです
漫画家だってよ
へーーー
じゃあ一緒に来られたかたは編集さんか何かですか?
あ、そうですそうです
お二人は観光ですか?
観光です
飲み屋でチケットをもらって来たんですよ

へー!

すごいですね

くるみちゃんって今いくつだっけ
22歳です

22か

あなたもそれくらいの歳じゃない?

19ですー
若い
(酒すすめたらあかんな)




 時津はそっと顔を伏せました。




(やだなこれ、すごい年上じゃない、わたしだけw)
今夜ゴハンどうするの?
部屋にゴハンが来るので、編集の人と一緒に食べます
編集の人と食べるならゴハン誘ったら悪いかなぁ(ボソッ)




 くるみは小さな声でボソッと言いましたが時津には聞こえていました。二人は小さな声で話し合います。




正直こっちもどうするか決めてなかったよね

楠木さんに何も訊かずに決めちゃ悪いか

誘うのやめる?

うーん
どうする? やめとくか、相手仕事だしな

そうねぇ

遊んでる自分たちとじゃちょっと失礼かなぁ

明日もお仕事なんですか?
わたし全然考えてなくて、瀬川さんにきかないと分からないです
このへん星空とか海とか凄い綺麗らしいので機会があったら一緒に見に行きませんか?
えっ、そうなんですかー!




 それを聞いたもなはすごくテンションが上がった様子です。




じゃ今夜行きます?
でも消灯が22時か

大丈夫っしょ

大人二人いるから消灯過ぎても




 くるみはもなを強引に誘います。




是非行きたいです

でもちょっと瀬川さんにきいてみますね

もし行けそうだったら部屋にいるので声を掛けてください

お風呂上がったら瀬川さんにスマホで連絡してもらう

今夜行ってもいいですかってスグ返答を求める

即レスw
気が早いなw
お風呂上がったらスマホで聞いてよー

分かりましたー

たぶん向こうもお風呂に行くと思うのでその時だったら大丈夫と思います




 時津、くるみ、もなの3人は、ご飯を食べた後、夜空を見に行く約束を取り付けました。







 休憩所。


 瀬川さんが休憩所に入ると、中には一人おじいさんが座っていました。その人はゆっくりとジュースを飲みながら持ってきた本を読んでいます。




こんにちは

こんにちは

きみは観光のかたかい?

そうです、はい

取材がてら観光名所を回ってるんです

そうなのかい、そうなのかい

取材っていうのは何の取材なんだい?

わたくし、漫画編集者をしておりまして、担当の漫画家と一緒に…………


何ていう質問だったっけ、ぶっとんじゃったw

何の取材をしに来たのかと思ってのう
漫画で使えそうな古いいい旅館ですので写真なんかを撮らせてもらっているんですよ

おお、なるほどのう。遠くからよくおいでなすった

この旅館はいい旅館じゃろう?

そうですね

あなたはこの旅館のかたですか?

ああ、儂はこの旅館の近くに住んでいる者なんじゃけど、温泉に時々こうやって浸かりに来てるんじゃよ

まだ温泉には浸かってないんです

いいですか? ここの温泉

結構ゆっくりと浸かれてのぅ

湯船も広いし、都会の疲れを癒やすことはできると思うぞ

それは楽しみですね
取材に来たということじゃったら、この地方に伝わる昔話を話してやろうか
是非聞きたいです
実はのう……

ここの霊山と呼ばれる山の麓には昔、小さな村があったんだが、その村は山に住む怪物の脅威に怯え、生け贄を渡していたそうだ


何でも丁度今頃かな、夏になると怪物が村に下りてきて村の人間を襲うから、それを阻止する為に生け贄を渡す代わりに村を襲わないという取引をしていたらしい

この山にその怪物を封印し、どうにか村はもう生け贄を渡す必要は無くなったそうじゃ

その封印をする儀式なんじゃが、何て名前だったかな……


まあ忘れたんじゃが、或る一族がその怪物を封印し、何十年も続いた生け贄の風習に終止符を打つことができたんじゃ

ああ、そうそう

ついでに言うとだな、その村はこの旅館が建っている場所にあったんだよ

村自体は何十年も昔になくなってしまったんじゃがのう、過疎というやつだろうな




 そういった昔話を瀬川はおじいさんから聞かせてもらいました。




その伝承について書かれて、何か調べることができる場所ってこの辺にあるんですか?

そうじゃなあ

この旅館に置いてある物、資料とか見てもらえばいいんじゃないかのう

ロビーに本立てがあるから、そこに色々置いてあったはずじゃ

そうなんですね

じゃあちょっと後で見てみようと思います

それじゃあ儂はもうそろそろ陽が落ちてくるからのう、家に帰ってばあさんのメシを食べないかんから


それじゃまた

ごゆっくりどうぞ

どうもありがとうございました




 そうしておじいさんは休憩所から出て行きました。




休憩所で話を聞くことができました

雑談とかいろいろしてたので大体17時くらいかな

17時くらい

じゃあ一時間でゴハン

あと30分で女の子たちも出てきます
もう時間無いのでさっそく本立てを見に行ってみよう







 ロビー。

 瀬川が本立てを見に行ったところ、丁度一緒にこの旅館に来た男性がロビーで室内の調度品とかを見て回っているのを見かけました。


 瀬川は、本立てに近付きながらその男性の様子を見ています。




(何してるのかな)




 調度品を眺めていた楠木も、奥のほうから男性が一人歩いてくるのを見付けました。




(この人さっきの二人組の男性のかただ)

(内装ばっかり見てたけど、そんなところに本も置いてあったんだ

どんなのを見てるのかな?)




 本立てに先に近付いた瀬川様子を伺いながら、楠木も本立てに向かいます。







 本立てに先に近付いた瀬川様子を伺いながら、楠木も本立てに向かいます。



 瀬川が小さな本立てを見ると、新聞紙が二つあり、もう一つ古書のような物が置いてありました。




古書を手に取ってみます

古書はですね、大変難しい文字で書いてあります

それを読み解く為には【図書館】をどうぞ

【図書館】を失敗しても時間かけただけなので問題ないです

瀬川 鉄人【図書館】⇒ 成功
文字を読解することはなかなか難しいので、【日本語】-20 で成功か【考古学】が -10 か、あとは古書……
じゃあ【母国語】で
瀬川 鉄人【母国語(日本語)】⇒ 成功




 瀬川は時間をかけることもなく古書を読み解くことができました。



 古書の内容は、先程の昔話の内容も一部書いてありました。さらに読み進めていく内にこの周辺には昔、村があったことが分かりました。


 そこには村人たちの名前の一覧が書かれています。

 家系の人たちの名前が何十年にも渡って書き記されているのか、一つの名字につきたくさんの名前が下に続いています。


 その中で太字で漢数字の「一」と書かれている名字に瀬川は目が行きます。

 瀬川は日本語に精通しているのか、その漢字を知っていたのか、その「一」と書いてあるのが「にのまえ」と読むことが分かります。


 その「一」という名字の列の下に書かれている名前を見ていくと、他の村人たちの名前と違い、記されている名前の数が極めて少なく、さらに全員の名前の下に「様」と付いていました。




そのまま片方の新聞に手を伸ばします




 瀬川が古書を読み終わったところで楠木に声をかけられました。




もしや古い物に興味がおありですか?
先程この辺に住んでいるかたにこの地域の伝承みたいなものを教えてもらって、そのことが載ってないかなと思ってこの本を読んでみてるんです

へえ

内容は読めたんですか?




 瀬川は楠木に、おじいさんからきいた昔話や古書の内容などを伝えました。




この本に載ってたんですよ
「にのまえ」って読むんですねぇ




 瀬川は楠木に本を渡しました。

 楠木は自分もその本に目を通します。事前に内容を教えてもらってたため、楠木は古書を読むことができました。



 楠木が古書に目を通している間、瀬川は新聞を見てみることにしました。


 2冊ある新聞はどちらも黄ばんでおり、だいぶ昔の物のようです。しかも、ところどころ破れたりにじんでいたりする為、日付の部分が分かりません。




それでも読むことはできますので、読む場合はまた【図書館】をどうぞ

早く読解できるってかんじですね

瀬川 鉄人【図書館】⇒ 成功




 いろいろ穴あきだらけで読みにくいのですが、瀬川が一冊の新聞紙で、或る記事が目に留まりました。



「惨劇!■■■にて殺人事件!」


先日春日市にある■■■にて何者かによって殺人事件が起こった。犯人は行方を眩ませており、現在捜索中である。

殺害の方法は謎に包まれており、犯人がどのようにして被害者たちを殺害したのかは分かっておらず、何か毒のような物を使ったのではないかという仮説が立った。


しかし被害者たちのなかには何か鋭いもので切り付けられたような痕がある者たちもいる為、現在逃走中の犯人は刃物を持っている可能性がある為、地域のかたたちには警察から注意が呼びかけられている。




もう一つの新聞も同じ内容かどうかちょっと見てみます
更にもう一回【図書館】です
瀬川 鉄人【図書館】⇒ 成功
出目が安定してますね




 もう一つの新聞紙のほうを見てみると、こちらは日付の部分を読むことができました。



2011年8月10日「捜査は難航。真相は闇の中」


■■■で起きた惨殺事件だが、捜査は難航している。

何でも捜査中に警官が行方不明になる、警官が発狂する、といったことが起こるらしい。

このことから、■■■周辺に逃走中の犯人が潜んでいる可能性があるとみて、立ち入り禁止区域として調査を進めるということである。




丁度それを見終わったところで30分くらい経つかな

楠木さん、こんな新聞もありますよ

このへん読めないんですけど、楠木さん分からないですかね?




 瀬川は自分が解読した部分を楠木に伝えました。




ちょっと自分も見てみますね
二人で新聞を見た感じで、じゃあここで二人とも【アイディア】をどうぞ

瀬川 鉄人【アイディア】⇒ 成功

楠木甚之介【アイディア】⇒ 成功




 瀬川と楠木は、記事1が、記事2に書いてある 8月10日 以前のものであるということが分かりました。



 二人が新聞を読み耽っているところに女性陣3人がロビーに向かってきます。




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登場人物紹介

瀬川 鉄人(せがわ てつひと)

漫画編集者。河上もなの編集。

もなの父からの信用はあまりない。

河上 もな(かわかみ もな)

漫画家。編集担当は瀬川。

専門学校生だが漫画家業のほうにのめり込み学校を休みがち。

あまり人の目を気にしないマイペース。

時津 サイ(ときつ さい)

普段は冷静だが緊急事態によく転倒する。

楠木甚之介,くるみとは飲み仲間。

楠木 甚之介(くすき じんのすけ)

骨董店の店主。

着流しを着こなす温厚な紳士。二十代にして老成した感がある。

時津サイ,くるみとは飲み仲間。

くるみ

トラック運転手。

女子力を失いたくないと思っている。

時津サイ,楠木甚之介とは飲み仲間。

しゃりんさん(キーパー)

初心者ぞろいのプレイヤーたちを真理へと導こうとする天の声。

ダイス

佐倉 すみれ(さくら すみれ)

宿泊客の一人。

柴山 タケル(しばやま たける)

宿泊客の一人。

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