10:タケルとすみれ
文字数 3,645文字
あなたたちは廊下を照らしながらゆっくりと進んでいきます。
3階と2階の間の階段踊り場まで行くと、2つの人影がありました。
時津とくるみは、その1つが先程見た少女であることに気付きました。もう一人は、20歳くらいの青年でした。
彼等もあなたたちに気付き、少々驚いた様子でこちらを見ています。
少女と青年は顔を見合わせますが、よく思い出せない様子です。
くるみが女の子を問い詰めようとすると、青年が女の子の前に立ちました。
あなたたちも女の子と青年に自己紹介をしました。
くるみはすみれに謝りました。
「この二人が言っていることは絶対に嘘だ。3階にいたはずだ」
と、もなはすみれをジッと見詰めて思いました。
タケルはもなの視線に気付き、すみれを自分の後ろに隠しました。
時津は、タケルとすみれが警戒している様子なので、男性陣を前に出して自分は後ろに下がりました。
あなたたちは瀬川と時津を先頭に、くるみを最後尾にして階段を降りていくことにしました。
階段は、今まで見てきた廊下と同じように足下にはいっぱい石や色々な物が落ちており、ボロボロです。軋んだ音が鳴り、今にも壊れそうです。
あなたたちは1階まで降りてきました。
何か物音がしないかと時津が聞き耳を立てたところ、全くの無音でした。
瀬川が自動販売機を見てみると真っ暗になっていました。
楠木と瀬川はフロントのほうへ、他の人は玄関へ向かいました。
楠木がフロントを覗き込んでみると、奥は真っ暗でボロボロです。瀬川はそちらをスマートフォンで照らしてみます。
楠木には、フロントの中に引き出しのある机があるのが見えました。その引き出しは少し開いており、何か本らしき物があるのが見えました。
楠木と瀬川はフロントの中に入りました。
もなが玄関を開けようと引いてみますが、ビクともしませんでした。
玄関のドアロックは開いていますが、扉を開けることができません。
あなたたちは手分けして探したので、時間をかけることもなくすぐに懐中電灯を3つ見付けることができました。
くるみは懐中電灯をタケルとすみれに差し出しました。
タケルは懐中電灯を受け取りました。
そうしていると、あなたたちは丁度、楠木と瀬川がフロントの中に入っていくのを目にしました。
フロント。
楠木は引き出しを開けて本らしき物を手に取りました。
それは宿帳でした。
文字が滲んでおり、読むためにはしっかりと目を通さないといけません。
楠木は懐中電灯の光でしっかりと読むことができました。
宿帳には、一番新しいところにあなたたちの名前が書いてあり、その筆跡は自分たちの物でした。
しかし自分たち以外の宿泊客の名前を見ると、チェックインの日付はなぜか1年前や2年前など、間隔が1年ずつ空いていました。
楠木はタケルとすみれの名前を宿帳から探そうとしますが、文字が滲んでいるので、あなたたち以外の名前はハッキリ分かるものはありませんでした。