23:最後の部屋 その2
文字数 1,824文字
もなはメモを見てみました。
瀬川は「メモの裏にも何も書いてあるのでは」と閃き、メモを裏返そうとしたとき、もなと手が重なりました。瀬川は一瞬「あっ」と思いつつ、二人で一緒にメモの裏を見ました。
瀬川ともながメモを発見している間に、楠木とくるみはキャリーケースに近付いていました。
もなは瀬川といきなり手が重なって少し鼓動が早くなっていた所為か、写真を上手く撮ることができませんでした。
瀬川は写真をしっかりと撮ることができました。目に映っている光景そのままを撮影することができ、特に違和感はありません。
廊下では、205 号室で発見した日記について、時津がすみれに話しかけていました。
そうやって時津とすみれが話していると、206 号室から黒いキャリーケースを持って4人が出てきました。
4人は、黒いキャリーケースを廊下の照明の下に置いて開けてみました。
キャリーケースの中には男性用の洋服がたくさん入っていました。財布も入っており、免許証が見えました。
それを拾い上げて見てみると、名前は『一 浩二
くるみは免許証の顔写真をよく見てみますが、会ったことのない人でした。特徴の無い普通の中年男性に見えます。
瀬川は免許証の顔写真を見ましたが、休憩室にいたおじいさんとはまったく別人でした。
くるみは免許証を持ち、時津のところへ見せに行きます。
時津に言われた通り、くるみはタケルとすみれに免許証を見せました。
タケルも首を振ります。
時津は 203 号室のドアノブを押さえていましたが、いつの間にか中でしていた足音も消えていました。