08:朽ちた部屋
文字数 2,808文字
眠りに就いていたあなたたちでしたが、突然体が痺れて動けなくなってしまいます。目も体も動かすことができず呼吸すらままならなくなってしまいました。
突然のことに驚いていましたが、突然目だけ動かせるようになりました。
辺りを見回し、隣に誰かが立っていることに気付きました。その足は素足で青白く、そして透けています。
それに驚いてもう一度しっかりと見ようとすると、その足はすーっと消えていきました。
それからしばらくして、体が自由に動くようになりました。
あなたたちは驚いて飛び起きました。そして、周囲が変化していることに気付きました。
なぜか部屋がボロボロになっていました。
壁の板は剥がれ、畳もボロボロで、窓ガラスも割れてそこら中に散乱しており、寝る前の部屋とはまるで別物のように変わり果てていました。
くるみはそういった状況に焦って周りを見回します。
時津は起き上がりました。立ち上がって移動しようとしたところ、足下にあった椅子に膝を打ち付けてしまいました。
二人は互いに、先程まで一緒に寝ていたはずなのに傍にいないことに気が付きます。
二人ともおかしいと思いつつも、恐怖を覚えるよりも何処に行ってしまったんだろうという焦りが先に立ちます。
瀬川がハッと気付いて持ち物を確認すると、持ってきた物はすべてちゃんと枕元にありました。
くるみは自分の持ち物とさらに、買ったお土産もきちんとありました。
もな、楠木、時津の三人は、荷物がありませんでした。さらに持っていたスマートフォンも無くなっていました。
瀬川は懐中電灯を返し忘れて持っていました。他のメンバーは持っていません。
あなたたちの服装は、旅館の浴衣を着たり、寝間着を持ってきた人はそれを着たりしていましたが、起き上がって見てみると、昼間着てきた私服に変わっていました。
部屋が暗かったので本当にいないのかは分かりませんでした。しかし人がいる気配は感じないので、くるみはきっといないのだろうと思いました。
時津は暗闇に目も慣れ、月明かりのお陰もあり、机や椅子や造花など、室内の調度品はボロボロになって壊れている状況をしっかりと目視することができました。
これは自分の泊まった部屋が、時間が経過してこのような状況になってしまったのではないかと気付きました。
そしてその場にくるみの姿もありませんでした。
外から足音が聞こえました。
時津は足音を追って廊下に出ました。
こうして全員が廊下で鉢合わせすることになりました。
楠木さんもそこに合流しました。
楠木は時津とくるみに話しかけます。
話している三人は、懐中電灯に明かりに照らされました。
瀬川ともなが三人に近付いていきます。
廊下は暗いですが月明かりで若干足下が見えます。廊下はあなたちの部屋と同じようにボロボロになっており、ガラス片などが落ちていて歩くのに難渋しそうです。
あなたたちは楠木の泊まっている部屋へ向かうことにしました。