19:プレゼント その1
文字数 3,039文字
あなたたちは201号室で見付けた日記帳を開いて中を見てみました。
そこには見たことのない単語がたくさん書かれています。「召喚」「あの日」「もう少し」のような言葉が多く見受けられます。
日記の最後にはこのように書かれていました。
突然タケルが頭を押さえ始めました。
時津は瀬川に日記帳を渡し、すみれと共にタケルに肩を貸して 201 号室の外へ連れ出します。
瀬川が部屋をよく見渡してみると、バッグは壊れて中身がぶちまけられて散乱しています。
くるみに頼まれた、何か手頃な投げられそうな物を探すことにしました。
瀬川は何か光る物を見付けました。
それを拾い上げようと近付きましたが、手が滑って転倒してしまいました。
手に痛みを感じ、光った物を見てみると大きめのガラス片でした。手はかなりざっくり切れているようです。
血をダラダラと流しながら手にガラス片を持った瀬川が 201 号室から現れました。
しっかりと包帯を巻いて瀬川の傷は止血することができました。
瀬川は血だらけのガラス片をくるみに渡しました。くるみはそれをバッグの中にしまいました。
「その前に……」と言って時津はタケルのほうを向きました。
くるみがタケルにそう言うと、すみれがタケルの前に立ちました。
瀬川はタケルに日記帳をパラパラとめくって見せたり、さっきのページを開いて見せたりします。
すみれは日記帳を叩き落としました。
タケルとすみれは2階のロビーに座り込んで休憩をとることにしました。
瀬川、もな、時津、くるみの4人は 202 号室の前に立ちました。
部屋のドアはどのドアも同じように、長い時間が経過したように古びています。
瀬川が部屋のドアを開け、時津は瀬川の後ろから部屋の中をライトで照らします。
部屋の中は、あなたたちが泊まった部屋と同じような内装や調度品で、やはり時間が経過したようにボロボロの状態になっています。
しかし、1つだけ違う点がありました。
テーブルの上に、包み紙にくるまった箱のようなものがあります。
時津はくるみともなの肩を叩き、部屋の中には誰もおらず、箱だけがあることを伝えました。
くるみともなは目を開けました。
近寄って見てみると、その箱は25センチ平方程度の大きさです。ラッピングされたプレゼントのように見えます。埃をかぶっていますが、破られた後などはなく綺麗な状態です。
瀬川は言われるがままに箱を持ち上げてみました。中身は意外と軽いものでした。
振ってみるとカサカサという音がすると同時にガタガタと中身が揺れ、箱の中に何か入っていることが分かります。
くるみともなは目を閉じました。
瀬川はできる限り破れないように気を付けながら箱の包み紙を剥がしてゆきます。