第24話:巨大台風の弱体化作戦10

文字数 1,254文字

プドフ
「カルミドルは旧ソ連時代の南部の稲作地帯で使われた。南部はとても暑いが水田には大量の水が必要だった。カルミドルは水面を覆って水の蒸発を抑える。」テストの結果カルミドルは台風が海から熱を吸い上げるのを防ぐ効果があると分かった。その仕組みはこのようなもの。カルミドルをつんだタンカーの船団を台風の約80m手前に配置する。そしてカルミドルを海面に流す。台風はカルミドルの膜ができた海域まで来るが熱エネルギーを吸収できず、勢力は弱まって停滞する。しかし50mの風でも膜は吹き飛ばされないのだろうか? 

プドフ
「場所によっては大丈夫。実験ではもっと強い風が吹いたが膜は有効だった。」
こうしてプドフの実験は多大な成果を収めたが、ソ連の崩壊によって研究資金は全て打ち切られた。ウイログビの結論では台風を止めることができるのはたった2つの方法しかなく、海面を膜で覆うこの方法はその1つだという。

ウイログビ
「数値シミュレーションの結果でも明らかなように風速50mの暴風にも耐える膜で海水面を覆って暖まった海水が蒸発するのを抑えるか、あるいは海水面そのものの温度を冷やすかのどちらか。」ウェザー・モディフィケーション・アソシエーション「気象修正協会」、台風の防止に献身的な人々も、この会議に出席している気象コントロールに取り組む人々同様、科学界の外で活動しているのが実態。

 ランドシー
「現在政府の努力は気象観測と予測に向いていて、台風を弱める方には向いていない。ですが興味を持っていないというわけではない。もし台風を弱めるか押しやれれば素晴らしいが、現在の物理学では実現不可能」。ウイログビが、もっとも有望だと考える海面の膜と深層水の汲み上げでさえ、さらなる研究が必要。500年前のレオナルド・ダ・ヴィンチをはじめ多くの発明家が飛行機やヘリコプター、月ロケットを夢見た。しかし当時はどれも見捨てられた。当時は技術がなかったが、今それらは全て実現している。これら7つの方法もそうだろう。ポンプには水を汲み上げる力がなく、カルミドルは強風で流され、液体窒素のはしけも同様、空からのアプローチも種まきは雲の中に肝心な水がない、炭素は風で流され、レーザーも威力が足りない、宇宙からのマイクロ波も台風を動かすには弱すぎる。

 しかしもしこれらの方法を全部一度に試したら台風はどうなるだろうか? 台風が接近した時に全てを一斉にぶつける。衛星は進路を変えさせるマイクロ波を放ちC130はレーザーを発射、アイウォール「目の壁」の雷雲を無力化する。哨戒機の編隊がアイウォール「目の壁」に種をまき、カルミドルが海を覆う。無数のポンプが冷たい深層水を汲み上げ、はしけの船団が液体窒素を放出。さらに不完全燃焼装置が真っ黒いススを噴き上げる。これら7つの方法で一斉に攻撃すれば、超大型台風から大都市を守ることができるかもしれない。しかし今は守る方法はない。*ブログ「ハリケーンを止める7つの方法」を参考にさせていただきました。
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