第25話:パリ議定書以降、世界のめざすべき道1

文字数 1,125文字

 まずパリ議定書について、おさらいしよう。2017年6月、米国のドナルド・トランプ大統領が脱退を表明するなど、最近なにかと話題になっている「パリ協定」。しかし、そもそもパリ協定ではどのようなことが決められ、世界各国にはどのような取り組みが求められているのか、またパリ協定がビジネスや生活にもたらす影響とはどのようなものなのか、はっきりとは答えられないという方も、実は多いのではないでしょうか。そもそも温暖化対策の新しい枠組みパリ協定とは何か。パリ協定とは2020年以降の気候変動問題に関する、国際的な枠組みです。1997年に定められた「京都議定書」について覚えている人は多いでしょうが、パリ協定はこの京都議定書の後継となるもの。パリ協定は2015年にパリで開かれた温室効果ガス削減に関する国際的取り決めを話し合う「国連気候変動枠組条約締約国会議『通称COP』」で合意された。

 こうした取り決めは合意されるとすぐに効力を発揮するものではなく、発効するための条件が設けられます。パリ協定では、以下の2つが発効条件。1つ目は55カ国以上が参加すること。2つ目は世界の総排出量のうち55パーセント以上をカバーする国が批准する事。専門家の間では条件が満たされるには時間がかかるだろうと考えられていましたが、当時の米国・オバマ大統領が中国やインドに批准を働きかけた結果、2016年11月4日に発効した。それだけ世界各国の地球温暖化に対する関心が高まった。結果、パリ協定には主要排出国を含む多くの国が参加。締結国だけで、世界の温室効果ガス排出量の約86パーセント、159か国・地域をカバーするものとなった。「2017年8月時点」。

2016年11月に開催されたCOP22では2018年までに協定の実施指針などを策定することが合意されました。パリ協定では次のような世界共通の長期目標を掲げています。1つ目、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保ち1.5度に抑える努力をする。2つ目、そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし21世紀後半に温室効果ガス排出量と「森林などによる」吸収量のバランスをとる日本も批准手続きを経てパリ協定の締結国となった。この国際的な枠組みの下、主要排出国が排出削減に取り組むよう国際社会を主導し、地球温暖化対策と経済成長の両立を目指した。

 なお米国のトランプ大統領による脱退表明に話を戻すとパリ協定は規定上、発効から3年経過して以降、国連に脱退の通告できる。また、その通告が効力を有するまでに1年かかる規定になっているて米国の脱退が可能となるのは最速でも2020年11月4日以降になる。
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