第18話:巨大台風の弱体化作戦4

文字数 1,568文字

 何か、巨大台風の弱体化対策についての情報が少なくて、不満が残るので、少しでも、希望をも持ってもらう意味で、現在、考えられてる。巨大台風を止める7つの方法について書くことにする。大型台風の発生数は過去30年で2倍になり、さらにその数が増えてる。台風が1秒間に放出するエネルギーは長崎型原発の10倍以上。私達人間には手も足も出せない相手。もし台風の被害でこうむる数10億ドルの損失を事前の対策費に使えば、巨大化する台風を止められるだろうか?止められないという科学者が多い中で、何人かは止められると考えている。

 現在、科学者や発明家、気象学者などから台風を止められるという多くのアイディアが提示されている。それらの中からもっとも有望な7つを取り上げる。そのうち3つは海上での計画。1つ目はジョンソン・スタントンの液体窒素の噴射。2つ目はウラジミール・プドフ、化学薬剤による膜の生成。3つ目はフィル・キチルの深層水の汲み上げで表面海水温を下げる方法。他の3つは空中からの計画。4つ目がウイリアム・グレイの炭素微粒子の煙。5つ目が、ジョー・ゴーデンの雲へ種の散布、6つ目がロバート・ディケルソンのレーザーによる放電作戦。7つ目がロス・ホフマンの宇宙空間からマイクロ波を照射する方法だ。

 台風は熱力学で説明できる自然現象だ。まず海水温が26℃以上になると海水がどんどん蒸発し熱風となって上空に吹き上がる。地球の回転によって熱風は渦巻きになり中心に下向きの風が吹く真空の目ができる。するとより多くの湿った空気がアイウォール「目の壁」の雲に飛び込んで雲を厚くする。この時に風速は80m以上になる。科学者達は原因を断定したがらないが、この10年間に台風の発生頻度が増し大型化が進んでいることは疑いもない事実。2005年はアメリカ史上最大の台風の当たり年で最大級に位置づけられるカテゴリー5が頻発、甚大な被害が発生した。台風が消滅するには、そこに蓄えられた熱が発散されなければならない。その熱は陸地との摩擦や陸上の乾燥した空気が奪ってゆく。もし台風から熱の元、つまり湿った海水やその海から盛んに蒸発する湿気などのエネルギー源を奪い取ることができれば台風を弱められるだろう。問題は人の手でそんなことができるかどうか。

 凶暴な嵐の雲の下に広がる海面が考える出発点。フィル・キチル、
「カトリーナがあった年の春、妻と私はジャズフィスティバルに行った。ニューオリンズに友達がいた。ところがその友達と娘がカトリーナで家をなくし、私の家に2ヶ月ほど避難していた。その内他の台風もきて何とか方法はないか考えた。すると深層水という深い海の水は表層よりはるか冷たいことを思い出し今ある技術で汲み上げることにした。」

 フィル・キチルのアイディアはこうだ。台風の進路を遮るように100万個のポンプを浮かべる。そして冷たい深層水を海面に汲み上げて台風のエネルギー補給を抑える。キチルは早速貯金をかき集め、投資者を募りプロトタイプをテストするために海に向かった。

キチル
「これが150メートルの深さに沈める装置。構造は単純で底に蓋がついたバケツのようなもの。波で下がった時に底のパルブが開き、中に冷たい深層水が入ってくる。次の波で持ち上げられると、バルブが閉じてその波の高さだけ水も持ち上げられる。これを繰り返すと冷たい水がホースの中をどんどん上に上がってきて、そのうち海面につく。そしてブイの口から流れ出して海面を冷やす」。

ウイログビ
「問題は深層水は冷たく海面の水より密度が高くて重いので上まで上がってこられないだろう。」ウイログビは水を冷やせば台風を弱くできるという考えには賛成だが、このポンプでは冷水を汲み上げられないか、あるいはポンプ自体が嵐で壊れてしまうだろうと評価した」。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み