第116話 孤独と疎外感1 ~傷だらけの心~  Bパート

文字数 7,271文字


「もう一回聞くよ? 何で雪野さんは自分の心に嘘をついたの? もう教頭先生のところに再考の談判にはいくけれど、せめてここの仲間には本音で話しても良いんじゃない?」
「……じゃあワタシに恥さらしになれって言う事ですか? 今、岡本先輩が言った事一体誰が信じるんですか? 前の時もそうでしたけど、どうしてワタシに責任を取らせてくれないんですかっ!」
 雪野さん本人も自分で気が付いたのか、それとも私の説得を諦めたのか続ける前提での話を進める。
「甘え『責任責任って言って、その都度俺も教頭に注意されるんだが、雪野の今回の行動は本当に辞めなければならない程の事か? 暴力も振るってはいない、人からの話を決めつけて一緒になって噂話をするんでも無くて、聞いた話が本当かどうかの確認まで取ろうとした。たったそれだけの事なんじゃないのか?』――」
 私の言葉にかぶせるようにして、倉本君が再び雪野さんの説得に参加する。
「それに責任取って辞めて、それで終わりじゃないぞ。言ってくる奴は辞めた後でも執拗に言い続けて来るぞ。その時になって雪野は後悔しないのか?」
「雪野さん。雪野さんが今、心の中にある誰に何を話したとしても、結局は上辺だけで本当の意味では誰も理解してくれていない。常に自分は一人ぼっちなんだって、耳は傾けてもらえない、助けてもくれないんだって言う諦めと言うか孤独な気持ち、さっきも言ったけど理解できるよ。これだけ大きな噂が別の噂を呼んで、一つの“意志集団”みたいになってしまったら余計にね」
 まさかの優希君からの言葉に、再び衝撃が走ると同時にショックが広がる。
 私が理解した気になっていただけで、実際の所は優希君の事を全く分かっていなかった。心の孤独を感じるくらいの距離があったと言われたも同じに聞こえる。そう理解した瞬間、今度は二度目だからなのか大きく視界が歪む。
「やっぱり空木先輩は分かって下さるんですね」
 優希君の言葉が雪野さんの心情そのままだったのか、雪野さんの声が今度は震える。
「ちょっと副会長! じゃあ愛先輩は何なんですか? 愛先輩に酷い事して、悲しい思いをさせたのは副会長じゃないんですか!」
 だけれど、今度は彩風さんが私の心を救ってくれる。
「でも忘れて欲しくないのは、少なくとも統括会のみんなは雪野さんの事を、分からないなりに知ろうと、理解しようとしている。それだけは忘れないで欲しい」
 それでも優希君の雪野さんに対する優しさと言うか、理解は止まらない。
「副会長!」
 見かねた彩風さんが副会長の名前を苛立たしげに呼び、立ち上がる。
「岡本さん。俺は岡本さんをないがしろにするような事は絶対にしない。それは今までの俺を見てもらえれば分かると思う。それにこれ以上岡本さんが空木に一生懸命になっているのは見てて辛い」
 かと思いきや倉本君がとんでもない事を口にし始める。このままだと先週の金曜日の二の舞になりかねない。
 しかも今の倉本君の言葉に対しても、彩風さんは反応せずに優希君を見つめ……いや、睨みつけてつけている。
「雪野さんがその事を最後まで忘れなければ……」
 ただ、今回は優希君がそのまま誰の言葉にも反応しないまま、顔を赤らめて一度私の方を見やってから、
「……僕にとって愛美さんがそうであるかのように、雪野さんにとっても本当に大切だと思えるような人に出会えるから」
 まさかのタイミングで私との約束を果たしてくれる。
「……っっ」
 優希君がはっきり口にしてくれた時、後輩二人の反応は正反対だった。
 彩風さんはさっきまでとは打って変わって、満足そうな表情で。一方雪野さんはそのまま両手で顔を覆ってしまう。
「おい空木っ! お前雪野に手を出して、雪野を捨てんのか!」
 雪野さんが涙し始めたと同時に、倉本君が女の子に対する気遣いゼロで優希君に詰め寄る。
「倉本は何も知らないくせに口を出さないでくれ! 詳細に関しては僕と雪野さんだけの話だから省くけど、僕に雪野さんを選んだつもりはない」
 それに対して優希君も負けじと言い返してくれる。
「そんな屁理屈で岡本さんを幸せに出来んのか! それにさっきの女は何だ! 岡本さんを選んだと言っておいて、早速浮気か?」
「それこそ部外者は黙っててくれ! こっちにも都合って言うのがあるんだ」
 優希君にここまではっきりと弾かれるとは思っていなかったのか、男二人で喧嘩のような言い合いが始まる。
「倉本君! 私、前回倉本君が彩風さんの事を怒鳴った時に、三回目は無いよって言ったにもかかわらず、今日また彩風さんに怒鳴ったよね? その倉本君が優希君に言えるの?」
 だけれどこうなった以上は、彩風さんには悪いけれど優希君に加勢させてもらう。
 さっきからの優希君の行動と言葉の真意については、後でしっかりと私の燃え上がった嫉妬の炎が消えるまで聞こうと心に決めて。
「それにこのまま雪野さんの話はしなくても良いの?」
 そしてそのままの勢いで、今やらないといけない話し合いへと意識を戻してもらう。
「確かにそうなんだが……」
 当然私に彼氏がいて、倉本君の入る隙間が無くなったわけだからその戸惑い自体は分からない事は無いけれど、その空いたままの隙間は彩風さんに埋めてもらう物なんだから、今はその事を放っておいても良いはずなのだ。
「じゃあ倉本君は、教頭先生に言われっぱなしでも良いんだ」
 私が倉本君を挑発すると、雪野さんの方をずっと向いていた優希君が顔を赤らめたまま私の方を振り返って、
「ところでさっき愛美さんは、明日直接教頭先生の所に行くって言ってたけど、本気?」
 私の気持ちを理解してくれている優希君が、さすがに顔を覆って涙している雪野さんを気にしながら、私の話に乗ってくれるけれど、私の燃やした嫉妬の炎は消してもらわないといけない。
「明後日からは夏休みだし、明日中には間違いなく言いに行くよ。だって雪野さんからは私の質問に対して、納得の行く答えはもらえなかったんだから」
 私が嫉妬の炎を隠しながら優希君に答えたら、どうなったのかは分からないけれど、
「分かりました。正直アタシ自身の中にも複雑な気持ちはありますけど、愛先輩の言ってる事も分かりますし、清くんが言われっぱなしって言うのも納得出来ないんで、協力はさせて頂きます」
 なんだかんだ言いつつも雪野さんの暴力を真っ先に否定した、私にとって可愛い後輩がまた、私に協力してくれると言う。しかも今度は倉本君の為ってハッキリ言ってくれたから、今後は少しずつでも倉本君に彩風さんを意識してもらえるかもしれない。
 そして今はショックを受けているであろう雪野さんはそっとしておくとして、
「倉本君は?」
 私たちが何をどう言ったところで、結局このチームは倉本君がリーダーなのだから、倉本君が首を縦に振らない事には何をどうすることも出来ない。
 もっとも渋ったら渋った分だけ、あの手この手で倉本君のプライドを刺激するだけだけれど。
 だから最後は必然倉本君に視線が集まる。
「分かった。このまま諦めるのも何かが違うとは思うから、もう一度俺にみんなの力を貸して欲しい」
 みんなの視線に耐え切れなくなったのか、倉本君が皆の前で頭を下げる。

 事態は何も好転はしていない。むしろ悪化した感がないでは無いけれど、それでもこのまま諦めたり、手をこまねいているだけでなく、次にやるべきことが決まったのは大きいと思う。
 そう言う意味では最悪の事態にならなくて良かったと素直に思う。
 その後は明日読み上げる原稿は、終業式直前、昼休みが終わった時に役員室で渡す事を確認だけして、今日の統括会は何とか終了になる。
 私たちの関係を言ってもこれだけで済むのならもっと早くに言っておけば、私も優希君も気を揉まなくても良かったのかもしれない。
 私はやっと倉本君から返してもらえた議事録にさっきまでの事を考えつつ今日の事を忘れないうちに急ぎまとめにかかる。もちろん、この後も用事があるのか、先に出て行った優希君とのお揃いのペンで記録を綴っていると
「雪野。雪野のショックは分かるが、もうあきらめてしまうのか?」
「……え?」
 雪野さんを励ますためだとは思うのだけれど、私からしたら不穏としか思えない会話を始める倉本君。
「付き合いだしたからと言って何かの拍子に分かれる事だってあるし、第一『清くん! 人の不幸を願うのは良くないって! それに今日は冬ちゃんはそっとしといた方が良いって』――分かった。じゃあな雪野。俺は今回の事も反省して、少しでも雪野の事を理解できるように俺も努力するからな」
「会長?」
彩風さんの窘める言葉に、少しだけ言葉を変えるも、雪野さんの聞き返しに言葉を続ける倉本君。
「俺は岡本さんが好きだ。俺は本気だからこそ、簡単には諦めきれない。すぐに他の女と浮気するような奴に、岡本さんを渡したくない」
その倉本君がまたとんでもない事を言い出す。
「会長……ワタシだって……」
それに感化されたような表情を見せる雪野さん。
「……清くん……」
それに対して、声に力が無くなる彩風さん。それでも私を見つめる倉本君の視線に耐えられなかったのか、その倉本君を彩風さんが引っ張るようにして、役員室を後にする。

 今残っているのは私と雪野さんだけだけれど、忘れない内に議事録にまとめようと(ペン)を走らせる。
「……岡本先輩を一度選んだとしても、ワタシは空木先輩の事を諦めませんから。ワタシの気持ちを深い所で理解して頂ける空木先輩だけは諦められませんから。それではお先に失礼します」
 私が議事録をまとめている間に、もう女二人だけで気にしなくて良いと開き直ったのか鼻声を隠すことなく、言いたい事だけを言って、雪野さんもまた役員室を後にする。
 私は一人残った役員室の中で今日の事を少し反芻する。
 あの去り際の倉本君と、それまで涙していた雪野さん。その雪野さんを元気づけるためにしては不穏過ぎる励まし方。それに私が大きく嫉妬の炎を燃やした優希君が雪野さんにかけたあの言葉。誰からも理解されない孤独が分かると言い切った優希君の真意。あの言葉で間違いなく、雪野さんの優希君に対する気持ちは強くなったと言い切れる。
 優希君が確かに約束通りみんなの前で公言してくれたのは嬉しい。だけれど一番初めに私の嫉妬の炎を上げさせた優希君の行動。私のためだの何だの言いながら二回も雪野さんをかばうのはどういうつもりなのか、優希君には色々と聞きたい事があり過ぎる。

 それに加えて今日の統括会の事。てっきり倉本君には昨日の雪野さんの話は耳に入っていると思っていただけに、教頭先生のやり方に驚いた。
 でもどうして私だけなのか。明日教頭先生に談判にいくのに意図の分からない所があるのが怖い。
 ただ一つ。昨日の時点で雪野さん自身が降りると言っても、今日まで保留にした学校側の対応を見ていると、やっぱり雪野さんを辞めさせる気は無さそうだ。

 一通り今日の分の議事録をまとめ終え、みんなの分のコップを洗い終えてから戸締りをして、私が最後に役員室を出る。


 私が明日の談判をどうしようかと下駄箱の所まで来た時、昇降口近くに備え付けられている洗面台で、蒼ちゃんがえずいている姿が目に入る。
「蒼ちゃん?」
「愛……ちゃん?」
 人気のない放課後の昇降口。その中でえずいていればすぐに分かるもので、蒼ちゃんの方も私が小さく一声かけただけですぐに気付く。
「待って蒼ちゃん!」
 その蒼ちゃんは私に見られたくない場面だったのか、朝乱れていたのはブラウスだけだったのに、放課後の今は、綺麗な艶のある長い髪も少し乱れているのも気にせず、まるで逃げようとする蒼ちゃんを慌てて呼び止める。
「蒼依。今日は用事あるから帰るね」
「蒼ちゃんのその格好で家に帰れるの? 蒼ちゃんのおばさんに心配かけない?」
 本当なら朝の約束の事を持ち出して、蒼ちゃんから無理矢理にでも聞き出したかった。
 でも蒼ちゃんの着崩れた服装を見ていると安易に聞く事は憚られた。
 そんな事よりも先に蒼ちゃんの身支度を整える方が先だと、優先順位を付けざるを得ないほどひどい。

 私は手持ちのポーチからタオルを二枚出し、うち一枚を濡らして髪についた汚れを拭き取って行く。
 さっきみたいに蒼ちゃんに拒絶されたらどうしようかと思ったけれど、今回はそうはならなかった。
 その後もう一枚のタオルで髪から水分を取り除くように当てて行く。
 その間も蒼ちゃんは質問に答えてくれるつもりはないのか、最低限の髪のお手入れだけは出来たけれど、いきさつは全く分からずじまいだった。
 そして髪はどうにかなったとしても、ヨレたブラウスだけはどうにもならない。
「蒼ちゃんお願い。私の質問に答えて」
 それでも尚、私の質問に答えて欲しくて追い縋る。
「本当はそのブラウスも寝坊なんかじゃないんでしょ? それにその髪だって明らかにこの放課後の事だよね」
 放課後に入った時点での蒼ちゃんに違和感はなかったのだから、それは間違いないって分かるのに、頑なに口を閉ざす蒼ちゃん。

 以前この昇降口で他クラスも交えた女子グループ達に囲まれていた事を思い出す。
「蒼ちゃん。また暴力を受けたんだよね」
 私の言葉に身をすくませる蒼ちゃん。
 以前この場所で見た前腕のアザ。そして今日のブラウスと少し傷んだ髪。
 もうこれ以上の状況証拠なんてない。私は心の中で決めてしまう。
「ねぇ。どうして私には何も言ってくれないの? どうして蒼ちゃんは私に秘密を作るの? 私の事信用できない?」
 それでも私は蒼ちゃんの口から聞きたい。私の独りよがりだったとしても、第一に蒼ちゃんの力になりたいに決まっている。
「蒼依にとって愛ちゃんは一番大切な親友だよ。前の学校の時から何回も助けてくれて、二人で力を合わせてこの学校に入って、三年一緒にいようって言うくらいには大切に想ってるよ」
「だったら――っ」
「――だからこそ愛ちゃんには言えない。大切にしたいからこそ巻き込みたくない。愛ちゃんとはずっと親友でいたいから言えない」
 それでも私と親友でいたいと言ってくれる。だからこそ私の気持ちを拒絶すると言う。
 だけれどそんなので私が納得できるわけが無いし、第一今の蒼ちゃんの姿を見たらおばさんが心配するに決まっている。
「明日は半日授業で終業式だけだし、今日家泊って行く?」
 もちろん一日中一緒にいれば徹底して話は聞けるし、あわよくばと言う打算が無いと言えば嘘になる。
 でもそれよりも何よりも今の蒼ちゃんの状態を見たら、一人娘である蒼ちゃんのご両親が心配するのは分かり切っているのだ。
「正直一日中一緒にいる中でって言う期待はあるよ。でもあの優しそうなおばさんたちに今の蒼ちゃんの姿を見せられる?」
「……」
 だから蒼ちゃんには私の嘘偽りのない本音を、例え蒼ちゃんが教えてくれなかったとしても、私は、蒼ちゃんに全て伝える。
「私はあの優しそうな蒼ちゃんのご両親が悲しむのは嫌だよ」
 中々口を開いてくれない蒼ちゃんに、私の本音の部分を重ねて伝える。
「今日の事は愛ちゃんには何も言わない。それでも良いなら」
 私の気持ちの少しだけでも伝わったのか、何も言わなくても良いのならと言う前提ではあるけれど、蒼ちゃんが了承してくれる。
「じゃあ今日は三人分の夜ご飯だから、スーパーに寄っても良い?」
 とにかく蒼ちゃんのご両親に心配をかけなくても良い、辛い思いをさせなくて済むと安堵した気持ちで、蒼ちゃんと二人並んで校舎を出る。


 私が蒼ちゃんと二人並んで外へ出た時、ちょうど校舎裏の方から優希君と咲夜さんが並んで出て来たところだった。
 ただその咲夜さんの目に涙が浮かんでいるところを見ると、ちゃんと咲夜さんの事は断ってくれたみたいだけれど、優しく、丁寧にって言うのは怪しいかもしれない。
「優希君!」
 ただなんにしても、優希君と咲夜さんが並んで歩いているのは面白くないからと、声を掛ける。
 私の声に嬉しそうに優希君は走り寄って来てくれるけれど、蒼ちゃんの姿を見た咲夜さんはその場で足を止めてしまう。
 だから私の方から咲夜さんの方に駆け寄る。
「どうしたの? 咲夜さんもおいでよ」
 私は何とか二人の仲直りのきっかけになればとは思うのだけれど、
「愛美さんごめん。今のあたし、こんな顔だし、また夜にでも電話して良い?」
 明らかに建前だと分かる理由で断りを入れる。
 ただ、今は蒼ちゃんの方が急ぎだからと言う事で
「分かった。じゃあ今日の夜絶対に電話ちょうだいね。約束」
「分かった。また電話する。ごめん。ありがとう」
「あっとそれから今一個だけ。優希君は優しく振ってくれた?」
「……うん。すごく良い男の人だった。副会長が“初恋”で良かった。あれだけ優しい副会長なら女子に人気があるのも分かる」
 一言だけを聞いたはずなのに、すごく女の子の顔をして答える咲夜さん。
 聞かないとは言った手前聞けないけれど、嫉妬の炎の温度が上がった気がする。
「じゃあ夜に電話待ってるね。呼び止めてごめんね」
 だからこれ以上嫉妬しないように、咲夜さんと夜の約束だけをして先に咲夜さんだけを見送って二人の元へ戻ろうと――
「愛ちゃん!」  
 さっきまでの雰囲気は微塵も感じさせない、どう考えても機嫌の悪そうな蒼ちゃんが待っていた。

―――――――――――――――――次回予告―――――――――――――――――
           「……あ・い・ち・ゃ・ん?」
           どうにもご機嫌斜めな蒼ちゃん
     「今日! 今日って事はまさか泊っていかれるんですか?」
            手の平をしっかりと返す慶久
       『ごめんね遅くなって。咲夜さん今、大丈夫?』
                隙の電話

 「愛ちゃんの電話が終わったみたいだから、愛ちゃんにお説教して来るね」

        117話 歩み始める信頼「関係」~信頼の積み木4~
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