第115話 たった一つのミス ~意見を拾う難しさ~ Aパート

文字数 7,825文字


 耳が遠くなったのか、先生の言葉も含めて周りのガヤが遠くに聞こえる。
 私たちはまだ何の交渉もしていないにもかかわらず、何でそんな話が出て来るのか意味が分からない。それとも雪野さんの事を快く思わない人が先週流した噂のように、また悪意ある勝手な噂話なのか。
「先生。それは何かの冗談ですか? それともまた噂話だったりするんですか?」
 噂話を先生が口にするんだったら、先週先生が朝礼の時に言ったあの話は何だったのかと言う視線を向けながら、耳を傾ける。ただ万が一倉本君を中心に、授業の合間を縫って、放課後の時間を活用して、必死で取り組んで頭も絞って来たのに、それを先生が冗談として口にしたのなら、いくら頑張っている先生とは言え厳しい反応をせざるを得ない。
「いや、冗談とか噂話とかではなくて、教頭からさっきの職員会議の時に聞いた。何でも昨日、雪野……だったか。との面談の時に、本人から淡々と統括会を降りる旨の説明があったらしい」
 聞き返した私の質問に対して、二度目教頭先生の名前を出す。
「今日。私たちが教頭先生と話をするはずじゃなかったんですか? 学校側はそれで了承したんですか?! 雪野さんの担任はなんて言ってるんですかっ!」
 巻本先生の言っている事を理解するにつれて、次に出てくる感情は怒りだった。
 先生が悪い訳では無いと分かってはいても、今この場で統括会の事を分かっているのは先生だけなのだ。それでも、お門違いだって分かってはいても、目の前の先生に当たらないとどうにかなりそうだった。
「ちょっと落ち着け岡本。とは言ってもその様子だと真剣に取り組んでいるのは分かるから、落ち着けないだろうが、それでもちょっとは俺の話を聞け」
 終礼が終わった直後に先生に呼び寄せられた私。今までの女子グループからの下世話な言葉や煽りの事もあって、廊下へ出たにもかかわらず、大半の視線がこっちに集まっているのをひしひしと感じている。
 その中でも先生自身が悪い訳では無いのに、私をあしらうのではなくて可能な限り、私の肩に両手を置いて揺すりながら、私をなだめて気持ちを受け入れようとしてくれる。
 こう言う所一つ取っても先生が大きく変わりつつあるのが目に見えて肌で感じて分かる。
「岡本の質問に一個ずつ答えて行くと、まず今日の交渉は普通にするんじゃないか? 次に――」
「――普通にって何ですか? 学校の判断次第では今日の交渉は全く意味がないんじゃないですか?! 服装チェックの時に先生に言いましたけれど、学校側のその中途半端な態度は一体何ですか!」
 私相手の時には確かに教頭先生からの課題の内容からして、その交渉自体に意味はない。でも倉本君の課題だと、今日の交渉の意味合いはとても大きいはずなのだ。
 指導者・責任者・マネジメント、今の私のレベルじゃ遠く足元にも及ばない程先を歩く倉本君。
 先週半ばから倉本君一人で何とかしようと頑張って、悩みながら、もがきながらの暗中模索。それでも分からないなりに手探りで進もうとする倉本君に、優希君と喧嘩しながらでも、蒼ちゃんに文句を言われながらでも私も協力して来たのに。
 どうして学校側の対応がこんなにひどいのか。
「いくら先生だからとは言っても、服装チェックの時みたいにはうやむやにさせませんから」 (23話)
 いくら学校の先生だからと言っても、頑張っている姿を目の前で見て、書記として記録を取っている私からしたら、強い憤りを感じるには十分だ。
「それは違うぞ。うやむやにもなってない。普通にと言うのは昨日の話は抜きにして、先入観も無しで教頭先生と会長と総務だったか。が、交渉するって話だ。だから学校側が了承したかと言えば“ノー”だ。ただ、岡本に聞きたいんだが……」
 私からの質問にハッキリ答えてくれていた先生が突然言いよどむ。
「……何ですか?」
 ただですら今日の昼休みまでかかって、学校側との交渉内容をまとめたにもかかわらず、全く予想もしていなかった展開に、交渉の前から完全にとん挫した状態になっているにも拘らず、これ以上何があると言うのか。
「落ち着いて聞いてくれよ? 岡本が真剣に取り組んで来た事は理解しているつもりだから、絶対に怒るなよ?」
 今までの先生のイメージなら、そこまでして聞く必要があるのかとか下手をしたら黙って役員室へと向かっていたとは思うけれど、明らかに変わりつつある先生に対して、私の方も務めて先生の話に耳を傾ける事にする。
「分かりましたから早く言って下さい」
「……本人が辞めたい、降りるって言ってるのにそれを止める必要、あるのか? ましてや統括会は強制じゃないだろ」
 さすがに先生に他意も底意も無い事は分かってはいたけれど、もう少しで足が出る所だった……実際の所は少しばかり足は動いてしまったけれど。
「……先生? 会長の倉本君はいつも私たち五人で一つのチームだって言って来たんですよ? そして統括会の活動記録は書記である私がつけています。みんなの努力、頑張りを近くで見てきた私が途中交代を(よし)とすると思いますか? ましてや雪野さんが降りると決めた原因となる騒動も、先週朝礼で先生が言った噂の話からも、ある程度は耳には入っているんですよね? 

雪野さんが、何で身に覚えのない事で責任を取らないといけないんですか?」
 気を取り直して、先生に私の想いと言うか、考え方をぶつける。
「いや悪かった。岡本の気持ちって言うか、考え方が知りたくてな」
 初めは私の剣幕に驚いていたみたいだけれど、後半は私の話を嬉しそうには聞いてくれていた。
 けれどわずかな違和感を覚える。これは女の勘と言ってしまっても良いかもしれない。
「……どうした? 岡本。それから最後の質問――」
「先生。私に何か隠し事をしていませんか?」
 そのまま次の回答に移ろうとした先生を止めさせてもらう。
「隠し事って……さすがにいくら岡本でも先生に言えないことくらいは――」
「――先生? 先生は私にとって頼りになる先生のイメージを持っていても良いんですよね? 気軽に相談に乗ってもらえる先生だって思っていても良いんですよね?」
 先生との面談の時に、先生の想い、気持ちを確認する時に使った言葉を意識してもらう。
 すると、途端に先生が嬉しそうな表情を浮かべながら、悩み出してしまう。
 悩んでしまうと言う事はすなわちそう言う事で。
「本当に、岡本にも頭は上がらんな」
 一つ大きく息を吐いた先生が、降参とばかりに早々に白旗を上げてしまう。
「そうだ。教頭先生がこの状況で岡本がどう動くのか、どう思うのかを聞きたかったらしい。そして、さっきの岡本からの質問にも結び付くんだが、学校側としては今日の統括会側の話を聞くまでは、雪野の話はいったん保留と言う形を取るらしい。それからこの事は職員会議じゃなくて、俺が直接教頭先生から聞いたから、雪野の担任はおろか、他の先生方もほとんど知らないと思うぞ?」
 鼎談(ていだん)の時には担任を通さなくても良いと言っていたにもかかわらず、ここに来て担任の先生を再び巻き込むと言う教頭先生。
 大人の都合だけの話なのか、それともまた私の知らない何かの思惑でもあるのか、現段階では何の判断も出来ない。
「と言う事はほとんどの先生は知らないって事ですね」
 つまり統括会の中でも倉本君と、言った本人である雪野さん以外はこの事を知らない訳で……判断は私と倉本君にゆだねられるって言う事か。
 この後から始まる統括会。これは難しい判断になりそうだ。
「ああ。後は岡本の判断に任せるそうだ。それじゃあ岡本もこの後の事があるだろうから、俺はそろそろ行くな」
 放課後に入っているにも拘らず、何人かの生徒がまだこっちを見ているのを気にしてくれたのか、会話を切り上げようとしてくれる。
「あ! それと先生。さっきの夕摘さんの件ですが、夏季講習の申し込みってしていますか?」
 咲夜さんと実祝さんの事をお願いした先生に、念のための確認をする。その先生が二人共の事を気にしてくれていると言う事は今更言葉にしなくても伝わっている。
 ――今回のテスト。祝ちゃんすごく悪いから―― (89話)
 そんな先生の本来の姿を見て、実祝さんのお姉さんの言葉を連想するように思い出した私が、表面上だけでは気づけ無い事もあったと思い至る。
 何となく嫌な予感を覚えた私がそのまま先生に確認を取ると、そう言えば聞いた記憶がないなと独り言ちながら、昨日と同じように名簿帳をパラパラとめくり出す。
「……いや。申し込んでないな。ひょっとして予備校の方の講習を申し込んだのか?」
 つまり実祝さんも面談・進路希望調査票の中では進学を希望しているって言う事は間違いなさそうだ。
「先生。申し込みの期限は昨日までって仰っていましたけれど、実祝さんの進路希望調査票に合わせた夏季講習の申し込みって今から何とかなりませんか?」
 だったらもう明日しかない初学期。もはや実祝さんに確認している時間も実祝さんと仲直りをしている暇もない。
 本当に夏休みを恨めしく思う学生はそんなにいないんじゃないだろうか。
「いや確かに今までの“夕摘の成績なら”難関私立だとは思うが、勝手に申し込みをして良いのか? 確かに申し込み自体は自由だが、万一の場合、出席率は内申に響くぞ?」
 今までの実祝さんなら学校の図書室、ないしは家の近くの図書館で勉強していて、予備校なんて話は一度も耳にした事は無い。
 だから大丈夫だとは思うけれど、なんせ実祝さんと喧嘩みたいなのを始めて一か月以上は経つ。その間に考えが変わったとかが無いとは言い切れない。実祝さんとケンカを始めてからそれくらいの期間が過ぎてしまった事に、人知れず寂しさを覚える。
 時には喧嘩をする事も良いのかもしれないけれど、やっぱりそこには寂しさが常に付きまとう。
 でもほんの時々でも喋る機会のある実祝さんのお姉さんの話なら、実祝さんは大きく成績を落としているかもしれない。でもその事も含めて成績に関しては頓着しないとは言っていた。
「……」
「可能かどうかは申し込み合計人数次第なところもあるとは思うけど、話だけはしておくから、夕摘にその意思があるのなら、俺に声を掛けるように言っておいてくれ」
 私がどうしようか迷っていたら、先生が助け舟を出してくれる。
「……分かりました。実――実祝さんにはそのように伝言しておきます。先生、話を聞いて下さってありがとうございました」
 先生の気遣いが嬉しくて軽く頭を下げてお礼を言うと、
「行けると決まった訳じゃ無いからお礼を言うのはまだ早いと思うが、よく夕摘が申し込んでいないって気がついたな。俺も岡本に言われてからは夕摘の事も気を付けて見てはいたつもりなんだがな」
 ため息交じりに弱音を吐いて両肩を落とす先生。
 でも全統模試の結果も出ていない今現在、実祝さんの状況を知る事は、昨日の終礼同様先生が知るには無理があると思う。
「成績自体が出てないんですから仕方がないですって」
 それでも確認を取る間合いと言うのはあったとは思うけれど、人間何もかも完璧に出来る人はいないと思うのだから、そこは先生を応援すると決めた私がお手伝いすれば済む話だと私は、思うのだ。
「ありがとう。岡本にそう言ってもらえると俺も気がまぎれるよ」
 そう言いながら私に微笑みかけてくれる先生。
「その代わり、私の大切な友達である夕摘さんと月森さんの事、お願いしますね」
 だから私も先生に向かって、信頼と喜びを込めて笑顔を返す。
「本当に、岡本はこれからもっとイイ女になるな」
「――っ!!」
 放課後に入って少し時間の経った廊下。教室内から私たちの事をまだ見てる生徒がいたとはいえ、ほとんど人通りの無くなった廊下で、少しだけ先生から私への想いがあふれ出る。
「じゃあ私、このまま統括会の方へ行きますね」
 内心を悟られないように、私も先生に背を向けて教室内の他の生徒の視線を気にする事なく部活棟三階の役員室へと足を運ぶ。
 優希君にも私の事、イイ女だって言われたら嬉しいなって思いながら。


 私が役員室のドアの前で、さっき先生から聞いた難しい判断の事と、優希君と私の関係が変わった事を伝えるタイミングはいつにしようかと、少し逡巡してから役員室のドアを開けると、
「愛先輩。お疲れ様です」
「今日は岡本さん、少し遅かったんだな」
「……お疲れ様です」
 三者三様のあいさつを交わしてくれる。
「優希君は?」
 先生と話し込んでいた分、私が一番遅いと思っていたから誰にあてた訳でも無く聞いてみると、
「なんかあんまり見ない女と話し込んでたから、また別の女を作ってるとか告白されたりとかじゃないか?」
 倉本君から不機嫌そうに、失礼な言葉を並べ立てられる。倉本君からしたら恋敵の優希君の印象を少しでも下げたいだけなのかしれないけれど、それだと友達の足を引っ張るとしか映らない倉本君の印象も下がるのだけれど、その事は教えた方が良いのか、何も言わない方が良いのか。
 その上、友達から優希君の事をあしざまに言われるのはもちろん腹立つけれど、男子からでも私の大好きな優希君の事を悪しざまに言われるのも納得が行かない。
「……会長。空木先輩はそんな人じゃありません。訂正してください」
 ただそこに関しては同じ人を好きなった者同士、思う事は同じだったのかすぐに倉本君に食って掛かる雪野さん。
 ただまあ、その女の子には心当たりがあったから私は何も言わずに黙ってはいたのだけれど。
「そう……だな。スマンかった」
 驚く事にそれを受けた倉本君が雪野さんに頭を下げるのを、彩風さんが不満そうに見ている。
 この二人と中条さんの三人を仲直りさせないといけない私は、この二人が険悪になる前に
「雪野さん。みんなの分の飲み物を用意するの、手伝ってくれる?」
 引き離してしまう。
 その際にさっき先生に訊いた雪野さんの意思を聞くのと、少しでも彩風さんの気持ちが倉本君に届くお手伝いをさせてもらう。
「何ですか? ワタシにまだ何か文句がありますか?」
 昼の事が気になっていたのか、こちらには目もくれずに彩風さんと談笑しているのを横目に、雪野さんの事を倉本君に言う気が無いのであればと、こっちも注意して雪野さんに探りを入れさせてもらう。
「文句なら言いたい事も含めて山ほどあるけれど、私たちに何か言う事、無い?」
 向こうの二人には聞こえないように、炊事場で雪野さんと二人、会話を始める。
「言いたい事ならありますけど、言う事なんて特にありません」
 けれど私とあまり会話をする気自体は無いのか、目線すら合わせずにすぐに終わらせようとする。
 しかも言う事は特には無いと来た。せっかくさっきの先生の話を聞いて、まだよく分かっていない教頭先生の意図はありそうだけれど、気持ち自体は落ち着いていたのに。初っ端先生の口から聞かされた直後の感情が私の中に満ち始める。
「雪野さん。あんまり調子に乗んないでよ? 本当に話さないといけない事は無いの?」
 何とかあふれるイライラだけは押さえたつもりだけれど、その声まではどうにもならなかったっぽい。
「話さないといけない事って、それは今日の話し合いで決まる事なんじゃないんですか?」
 ようやく私の意図と言うか、言いたかった事に気付いたのか、雪野さんが私に鋭い視線を送って来る。
「ごめん! 遅くなった」
 所で、優希君も到着して全員が揃う。


 それ以降は興が削がれたと言うか、
「……」
 男二人の殺伐とした雰囲気に当てられて、彩風さんを含む女三人が一様に口を閉じる事に。
 何故か……は分からない事は無いけれど、この後彩風さんと倉本君の2人には雪野さんとの交渉を、ともすれば非常に不利な状況でしないといけないのに、そんな事で殺伐としている場合じゃない。
 私が手早く飲み物を用意して雪野さんと二人で運んだ直後、
「おい空木。今日が大事な日って分かってんのに、岡本さん、雪野だけに飽き足らず他の女と仲良くして統括会に遅れるとはどう言う了見だ?」
 倉本君が剣呑さをまき散らす。
「ちょっと待って! まだ統括会自体も始まっていないし私だって来るのが遅くなったのに、何で優希君だけに言うの? だったら私にも同じように注意するべきなんじゃないの?」
 のを、私が反撃させてもらう。
 少なくとも喋っていた女子生徒って咲夜さんの事だろうし、何回か顔を見たり一緒にお昼をした事もあるはずなのに、私の友達の事を覚えていてくれていない倉本君に対して、やっぱり良い気はしない。
 雪野さんも同じように思ってはいるのか、倉本君に対して不愛想な表情をしている。
「良いよ愛美さん。実際一番最後だったのも、女子と喋っていたのも本当だから――遅れて悪かった」
 優希君から出ていたさっきまでの殺伐とした雰囲気は何だったのか。優希君が特に抵抗なくみんなに頭を下げる。本当なら私に対して注意は無いのかとか、待ち合わせや集合場所に男女関係ないとか、色々言いたい事もあったのだけれど、今はとにかくそんな事を言っている場合じゃない。それに可愛い後輩である彩風さんから、顰蹙(ひんしゅく)を買うのだけは避けたいと思ってこれ以上この話を引っ張るのは辞める。

「じゃあこれ。今までの分をまとめた議事録。一応今日の交渉の時にこっちからする話をみんなの意見を参考にまとめたものだけれど、これで良いのかみんなに一度確認してもらえたら。もちろん雪野さんも」
 そう言って四つのポイントをまとめた項目と、みんなに聞いて回った雪野さんの良い所を羅列した項を開いて隣の彩風さんから順に見てもらう。
 言うまでも無い事だけれど、もちろんこの中の文字と記録は優希君とのお揃いのペンで書いたものだ。


 雪野さんを含む全員に一通り回し読みをしてもらったところ、概ねみんなが納得してくれたみたいで、気まずげな雪野さんを除く全員が首を縦に振ってくれた。
「じゃあどうする? このまま交渉に行く? それとも他に何か補足とか確認事項とかある?」
 これに関しては彩風さんが不満そうな表情をするけれど、倉本君の努力、好きな人に協力する事『善意の第三者』と無知は罪なり、知は空虚なり、英知は英知なりと言うのは倉本君の考え方でと説明して、彩風さんの女の子の部分もたくさん刺激した賜物なのか、特に反対意見とかは出なかった。
「岡本さん。今から交渉に行くけれど、岡本さんの力を借りたいからこの議事録を借りても良いか?」
 もちろんその為に見やすくまとめて、みんなに確認してもらったのだから、私が参加できない分むしろ願ったり叶ったりだったりする。
 するのだけれど……どうにも私の力を借りたいと言うのは違うんじゃないか。
「そこは彩風さんの力を借りて、私の議事録は参考程度にしてもらわないと……」
 言いながら彩風さんの方を見るも
「霧華の事はもちろん当てにさせてもらうからな」
「本当は愛先輩の方が良いって思ってるくせに」
 どうにも昼間言った事を彩風さんが分かってくれていないっぽい。
 私は内心で溜息をつきながら、半眼を送り
「じゃあ、みんなの想いをしたためたその議事録と一緒に、しっかり交渉して来てね」
 一つのチームとなる一言をかけて二人を教頭先生の所へ送り出す。

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