第24話 「招かれた者」
文字数 2,295文字
ある日、俺たちはエルザ親子といつもの様に朝食を食べていた。
「……アスフィ、君に紹介したい者がいる」
突然エルザのパパ、エルフォードが口を開いた。
***
「初めまして、今日からお世話になる、ルクス・セルロスフォカロと言います。よろしくお願いします」
と自己紹介する、彼は俺たちに礼儀正しく挨拶した。
「これはご丁寧にどうも、初めまして。アスフィ・シーネットです」
「……レイラ・セレスティア……です」
「エルフォードさん、今日からってどういう事ですか?」
「アスフィ、この方は今日から君に魔法を教える者だ」
「はい、気軽にルクスとお呼びください」
白髪のショートで少しボーイッシュな彼。
綺麗な赤色の瞳でどこか神秘的なオーラを放つ。
「……ではルクス……くん。僕は回復魔法しか使えません」
「聞いています……あと君はやめてください。私はこれでも一応女の子なんです」
しまった! 正直二択で迷った。
見た目が男の子みたいだったから。でも声は女の子よりだ。
まさか俺が二択で外すなんて……。
でも確かに……僅かに胸がある。レイラには勝てないけど。
「じーーーーー。ホントだ女の子だ」
「あの……どこをみて判断されましたか? 回答によっては攻撃します」
「……アスフィ、またやってる……」
レイラはまたか、というような顔をしていた。
胸を見て判断しないと確信が得られなかったんだもん。
仕方ないじゃないか。
俺はレイラにフォローを入れることにした。
「大丈夫だよ、レイラ。レイラの方が胸が大きい!」
俺は自慢げに言い放った。
「いてっ!」
レイラに殴られた。
フォローしたつもりだったのに……。
「……エルフォードさん、本当にこの方で大丈夫ですか?」
「ああ、心配ない。いつもの事だ。アスフィの力は私が保証しよう」
と言うエルフォードだが、俺はまだ何も知らない。
この人が誰でどんな目的で呼び出されたのか。
服装を見るに剣術を扱うような感じでは無いな。
彼女は、黒のローブを着ていた。
「……もしかして魔法使いですか?」
「はい、魔法使いですよ。あなたに魔法を教えるようエルフォードさんから呼び出しを受けました。でも、まさかこんな人物だったとは。まだ子供では無いですか」
失礼な。確かにまだ十二歳だが、
もうレイラとは大分進んでるんだからな!
「ハッハッハ! しかしアスフィは……彼は珍しい力を持っている。君もきっと驚くだろう」
「……珍しい力? 私は回復魔法しか使えないただのヒーラーと聞いていましたが?」
ただのヒーラーだと? たしかに回復魔法しか使えないが、
なんて失礼なんだこのルクスとかいうやつ。
「アスフィはただのヒーラーなんかじゃない……ただちょっとえっちなだけ……」
レイラが口を開いた。
それ全然フォローになってないよレイラ……。
「え、えっち!? この歳でですか!?」
と驚くルクスだが、俺と大して身長変わらないじゃないか。
「……エルフォードさん、やはり私が教えるような器ではありません。すみませんが、この話は無かったことにして下さい」
「うーん、そうか。なら仕方がない……模擬戦をしよう」
とエルフォードが言う。
「……え?」
誰と誰が? 模擬戦やるの?
「私とこの子がですか?」
「ああ、君が勝てば帰ってくれて構わない。例の条件も私の方からギルドに言っておこう。ただし、アスフィが勝てば君は彼に魔法を教えてやってくれ」
なんか俺抜きでどんどん話が進んでいた。
いやちょっと待ってくれ! おれはヒーラーだ!
勝負なんて――
「……分かりました。受けて立ち回す。私が勝つのは目に見えているので。その代わり約束は守ってください。後からやっぱりなしーー! なんてのはダメですから」
なんて生意気なやつだ。
身長そんなに変わらないじゃないか。
それに胸だってレイラに負けてるクセに。
「ちょっと可愛いからっていい気になりやがって……僕も受けてたちますよ!」
「アスフィ……頑張って」
そうして俺はルクスとかいう女と、
模擬戦をすることになった。
その間エルザは何も喋らず、もくもくと朝食を食べていた。
こういう時は、食い意地を張っているただのお嬢様なんだよな……あっ! それ俺が食べようとしていた肉!!!
***
模擬戦の場所はいつもの道場だ。
あの時は雰囲気とその場のノリでつい、受けて立つとか言ってしまったが、よくよく考えたら俺はまだこの人がどんな魔法使いなのか知らない。ローブからして魔法使いだというのは分かるのだが……。
「では、始めましょうか」
道場にはエルフォードが立ち会い人として来ている。
レイラは観覧者だ。エルザはこの場に来ていない。
どうやら、
「結果は分かりきっているから」とのこと。
そんなに俺が負けるのが目に見えているのかね……。
確かにヒーラーの俺に勝ち目があるとは思えないが。
道場は本来剣術修行の場として使われる。
今回は特例なのだそうだ。まぁここの道場の頑丈さからして、魔法ぶっぱなしても大丈夫だとは思うが。
その場合放つのは俺じゃなくルクスだろうな。
俺は回復魔法しか使えないのだから。
「……あのひとつ聞いても?」
「なんですか?」
「ルクスさんはなんの才能をお持ちで?」
流石に戦う前に聞いておかなければ。
俺だけ一方的に知られているなんて卑怯だし……?
そしてルクスは驚きの事実を口にした――
「私は、『あらゆる魔法を扱える』才能です」
そんなのありかよ……。
どうやらこの子はチート持ちのようだ。
「……アスフィ、君に紹介したい者がいる」
突然エルザのパパ、エルフォードが口を開いた。
***
「初めまして、今日からお世話になる、ルクス・セルロスフォカロと言います。よろしくお願いします」
と自己紹介する、彼は俺たちに礼儀正しく挨拶した。
「これはご丁寧にどうも、初めまして。アスフィ・シーネットです」
「……レイラ・セレスティア……です」
「エルフォードさん、今日からってどういう事ですか?」
「アスフィ、この方は今日から君に魔法を教える者だ」
「はい、気軽にルクスとお呼びください」
白髪のショートで少しボーイッシュな彼。
綺麗な赤色の瞳でどこか神秘的なオーラを放つ。
「……ではルクス……くん。僕は回復魔法しか使えません」
「聞いています……あと君はやめてください。私はこれでも一応女の子なんです」
しまった! 正直二択で迷った。
見た目が男の子みたいだったから。でも声は女の子よりだ。
まさか俺が二択で外すなんて……。
でも確かに……僅かに胸がある。レイラには勝てないけど。
「じーーーーー。ホントだ女の子だ」
「あの……どこをみて判断されましたか? 回答によっては攻撃します」
「……アスフィ、またやってる……」
レイラはまたか、というような顔をしていた。
胸を見て判断しないと確信が得られなかったんだもん。
仕方ないじゃないか。
俺はレイラにフォローを入れることにした。
「大丈夫だよ、レイラ。レイラの方が胸が大きい!」
俺は自慢げに言い放った。
「いてっ!」
レイラに殴られた。
フォローしたつもりだったのに……。
「……エルフォードさん、本当にこの方で大丈夫ですか?」
「ああ、心配ない。いつもの事だ。アスフィの力は私が保証しよう」
と言うエルフォードだが、俺はまだ何も知らない。
この人が誰でどんな目的で呼び出されたのか。
服装を見るに剣術を扱うような感じでは無いな。
彼女は、黒のローブを着ていた。
「……もしかして魔法使いですか?」
「はい、魔法使いですよ。あなたに魔法を教えるようエルフォードさんから呼び出しを受けました。でも、まさかこんな人物だったとは。まだ子供では無いですか」
失礼な。確かにまだ十二歳だが、
もうレイラとは大分進んでるんだからな!
「ハッハッハ! しかしアスフィは……彼は珍しい力を持っている。君もきっと驚くだろう」
「……珍しい力? 私は回復魔法しか使えないただのヒーラーと聞いていましたが?」
ただのヒーラーだと? たしかに回復魔法しか使えないが、
なんて失礼なんだこのルクスとかいうやつ。
「アスフィはただのヒーラーなんかじゃない……ただちょっとえっちなだけ……」
レイラが口を開いた。
それ全然フォローになってないよレイラ……。
「え、えっち!? この歳でですか!?」
と驚くルクスだが、俺と大して身長変わらないじゃないか。
「……エルフォードさん、やはり私が教えるような器ではありません。すみませんが、この話は無かったことにして下さい」
「うーん、そうか。なら仕方がない……模擬戦をしよう」
とエルフォードが言う。
「……え?」
誰と誰が? 模擬戦やるの?
「私とこの子がですか?」
「ああ、君が勝てば帰ってくれて構わない。例の条件も私の方からギルドに言っておこう。ただし、アスフィが勝てば君は彼に魔法を教えてやってくれ」
なんか俺抜きでどんどん話が進んでいた。
いやちょっと待ってくれ! おれはヒーラーだ!
勝負なんて――
「……分かりました。受けて立ち回す。私が勝つのは目に見えているので。その代わり約束は守ってください。後からやっぱりなしーー! なんてのはダメですから」
なんて生意気なやつだ。
身長そんなに変わらないじゃないか。
それに胸だってレイラに負けてるクセに。
「ちょっと可愛いからっていい気になりやがって……僕も受けてたちますよ!」
「アスフィ……頑張って」
そうして俺はルクスとかいう女と、
模擬戦をすることになった。
その間エルザは何も喋らず、もくもくと朝食を食べていた。
こういう時は、食い意地を張っているただのお嬢様なんだよな……あっ! それ俺が食べようとしていた肉!!!
***
模擬戦の場所はいつもの道場だ。
あの時は雰囲気とその場のノリでつい、受けて立つとか言ってしまったが、よくよく考えたら俺はまだこの人がどんな魔法使いなのか知らない。ローブからして魔法使いだというのは分かるのだが……。
「では、始めましょうか」
道場にはエルフォードが立ち会い人として来ている。
レイラは観覧者だ。エルザはこの場に来ていない。
どうやら、
「結果は分かりきっているから」とのこと。
そんなに俺が負けるのが目に見えているのかね……。
確かにヒーラーの俺に勝ち目があるとは思えないが。
道場は本来剣術修行の場として使われる。
今回は特例なのだそうだ。まぁここの道場の頑丈さからして、魔法ぶっぱなしても大丈夫だとは思うが。
その場合放つのは俺じゃなくルクスだろうな。
俺は回復魔法しか使えないのだから。
「……あのひとつ聞いても?」
「なんですか?」
「ルクスさんはなんの才能をお持ちで?」
流石に戦う前に聞いておかなければ。
俺だけ一方的に知られているなんて卑怯だし……?
そしてルクスは驚きの事実を口にした――
「私は、『あらゆる魔法を扱える』才能です」
そんなのありかよ……。
どうやらこの子はチート持ちのようだ。