第49話 鬼籍
文字数 1,099文字
「おまえさんたちが、なぜ、ここに? 」
おさとが、澪たちに気づくとたじろいだ。
その手には、古めかしい帳面がにぎられていた。
「それが、鬼籍かい?
どうやって、そんなものを手に入れたんだい? 」
夢幻が前に進み出ると訊ねた。
「そんなこと、あんたに関係ないだろう? 」
おさとがそっぽを向いた。
「観念したか? 」
おさとの父、海光が、幽霊になった鷺の親分を見据えた。
「鬼籍をよこせ」
幽霊になった鷺の親分がドスの利いた声で言った。
「ジタバタしたところで、今ごろ、おそい。
後ろを見ろ。お迎えが来たようだ」
海光が言い放った。
その場にいた者たちが一斉にふり返ると、
黒い人影が今にも迫ろうとしていた。
「なんだ、この匂いは?! 」
亀次郎が、着物の袖で鼻を押さえると言った。
「何か、聞こえるにゃあ! 」
とら猫が一回転すると、寅吉に変幻した。
「用心しろ! 地獄の底から、
地獄の使者が、亡者を迎えに来たんだ! 」
夢幻がさけんだ。
「ぎゃああ~! 助けてくれええ~! 」
次の瞬間、澪は、信じられない光景に絶句した。
幽霊になった鷺の親分の悲鳴が聞こえた直後だった。
地面の中から、無数の黒い手が伸びて、
幽霊になった鷺の親分のからだを地面の中へ引きずり込もうとした。
澪はとっさに、幽霊になった鷺の親分の腕をつかんだ。
「澪、助太刀するぜ」
忠治・亀次郎・寅吉の3人が、澪の様子に気づいて、
澪のからだを抑えながら引っ張った。
「もうだめだ! 」
幽霊になった鷺の親分が悲痛なさけび声を上げた。
「やめてくんねえ!
他人を身代わりにしてまで、生きながらえたくはねえ! 」
その時、幽霊になった先太郎が駆けつけた。
「あんた! 」
おさとが、幽霊になった先太郎に近づこうとした。
閻魔の前で、お経を唱えていた海鳥が気を取られて口を閉じた。
夢幻が、その隙をねらっておさとの手から鬼籍を奪った。
「主さん! 」
澪が手を振った。
「ちゃんと、受け取れ! 」
夢幻が、澪に向かって奪い取った鬼籍を投げた。
宙に舞った鬼籍は、無数の黒い影からやっとのことで
逃れた幽霊になった鷺の親分の元に落ちた。
一瞬、沈黙が流れた。
幽霊になった鷺の親分は必死に鬼籍を手に取ると、
ページをめくってあるページに来たところで手を止めた。
「あった! これだ! 」
幽霊になった鷺の親分は何を思ったか、
そのページを破ろうとした。
ところが、ページはうんともすんともしない。
「破れるわきゃないよ! 」
いつのまにか、おさとの隣に、紫頭巾をかぶった女が立っていた。
「あんたは? 」
亀次郎が何かに気づいた様子でさけんだ。
「おめえ。あの時の女か? 」
幽霊になった鷺の親分がさけんだ。
おさとが、澪たちに気づくとたじろいだ。
その手には、古めかしい帳面がにぎられていた。
「それが、鬼籍かい?
どうやって、そんなものを手に入れたんだい? 」
夢幻が前に進み出ると訊ねた。
「そんなこと、あんたに関係ないだろう? 」
おさとがそっぽを向いた。
「観念したか? 」
おさとの父、海光が、幽霊になった鷺の親分を見据えた。
「鬼籍をよこせ」
幽霊になった鷺の親分がドスの利いた声で言った。
「ジタバタしたところで、今ごろ、おそい。
後ろを見ろ。お迎えが来たようだ」
海光が言い放った。
その場にいた者たちが一斉にふり返ると、
黒い人影が今にも迫ろうとしていた。
「なんだ、この匂いは?! 」
亀次郎が、着物の袖で鼻を押さえると言った。
「何か、聞こえるにゃあ! 」
とら猫が一回転すると、寅吉に変幻した。
「用心しろ! 地獄の底から、
地獄の使者が、亡者を迎えに来たんだ! 」
夢幻がさけんだ。
「ぎゃああ~! 助けてくれええ~! 」
次の瞬間、澪は、信じられない光景に絶句した。
幽霊になった鷺の親分の悲鳴が聞こえた直後だった。
地面の中から、無数の黒い手が伸びて、
幽霊になった鷺の親分のからだを地面の中へ引きずり込もうとした。
澪はとっさに、幽霊になった鷺の親分の腕をつかんだ。
「澪、助太刀するぜ」
忠治・亀次郎・寅吉の3人が、澪の様子に気づいて、
澪のからだを抑えながら引っ張った。
「もうだめだ! 」
幽霊になった鷺の親分が悲痛なさけび声を上げた。
「やめてくんねえ!
他人を身代わりにしてまで、生きながらえたくはねえ! 」
その時、幽霊になった先太郎が駆けつけた。
「あんた! 」
おさとが、幽霊になった先太郎に近づこうとした。
閻魔の前で、お経を唱えていた海鳥が気を取られて口を閉じた。
夢幻が、その隙をねらっておさとの手から鬼籍を奪った。
「主さん! 」
澪が手を振った。
「ちゃんと、受け取れ! 」
夢幻が、澪に向かって奪い取った鬼籍を投げた。
宙に舞った鬼籍は、無数の黒い影からやっとのことで
逃れた幽霊になった鷺の親分の元に落ちた。
一瞬、沈黙が流れた。
幽霊になった鷺の親分は必死に鬼籍を手に取ると、
ページをめくってあるページに来たところで手を止めた。
「あった! これだ! 」
幽霊になった鷺の親分は何を思ったか、
そのページを破ろうとした。
ところが、ページはうんともすんともしない。
「破れるわきゃないよ! 」
いつのまにか、おさとの隣に、紫頭巾をかぶった女が立っていた。
「あんたは? 」
亀次郎が何かに気づいた様子でさけんだ。
「おめえ。あの時の女か? 」
幽霊になった鷺の親分がさけんだ。
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