第25夜 からす座は カァカァ烏の カカァリン

文字数 1,032文字

オイラの名は『カカァリン』…星のカラスさ。
誕生日は、(1934年)03月09日。
(1961年)04月12日には、初飛行を果たし、(1968年)03月27日、星になった!

え?「カラスは、真っ黒で気味が悪い」って?

ちっちっち・・・オイラは、金ぴかカラスなのさ。
しかも人のコトバが解る、話せる・・・天才カラス。
そう、オイラのご主人様は太陽の神様、アポロン様なのだよ。

今夜は、オイラが星になった時の話を紹介することにしよう。


その日、オイラは『おつかい』に出かけた。
アポロン様の命令だから『神様のおつかい』だぞ。

ところが! だ。
オイラの目の前に素晴らしいブドウの木が現れた。
このブドウは、どんなに美味しく実ったかをオイラに試してもらいたがっているんだなぁ。

・・・でも、おつかいの途中なんだがな。

ブドウは、美味しそうだ。
・・・道草食っている場合じゃぁないんだけどな。

「ちょっと…ちょっとだけだからぁ~」

オイラは、ブドウを1つまた、1つと食べ始めた。
「あぁぁぁぁ…美味しいぃぃ~~~…」
こんなに美味しいブドウは…これまでに…食ったコトがない。

ブドウをたらふく食ってしまったオイラは、すっかりいい気持ちになって、いつのまにか眠ってしまっていた。

「ふぁ、ふぁ~ふぁぁあくしょぉい…」
オイラは、大きなくしゃみをして目を覚ました。
傍らに何者かの気配がする。
「誰だ!!」
見ると、そこには、小さな蛇が一匹がいた。
「そうだ!」
オイラ脳裏に一瞬で素晴らしいアイディアが、・・・その時は、素晴らしいって思ったんだよな・・・閃いた。
オイラは、その蛇をくわえると一路、アポロン様の所へと飛んで行った。

「アポロン様ぁ~…」

アポロン様は、ゆっくりと振り向かれた。

『カラスくん、おつかいは、終わったかな?』

「この蛇めが…ワタクシの行く手を阻むのでございます。
 ワタクシもアポロン様からの任務を遂行すべく頑張ったのでございますが、この蛇めが…」

オイラは、アポロン様に蛇を突き出した。
アポロン様は、ニコリと微笑まれた。

『カラスくん、ブドウは、おいしかったかね?』

「はい、そりゃぁもう!
 ・・・って、あ、あ、あゎあゎあゎ・・・」

しまった。
アポロン様は、神様だ。
何もかもをお見通しだったんだ。

オイラは、真っ黒な姿に変えられてしまった。
言葉も取り上げられてしまった。
そして、夜空に張り付けになってしまったんだ。

春の夜空に四つの星で作る四角形…からす座。
これは、オイラを夜空に貼り付けた釘の頭が光っているものなんだな。
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