第4夜 友情と 勇気の証が 蟹の星

文字数 863文字

春の訪れを告げる「かに座」。
今夜は、「かに座」に伝わるギリシャ神話の物語をご紹介しましょう。


アミュモーネの沼に住む蟹と大蛇は、大の仲良しでした。
この大蛇は、全天一大きいな星座「うみへび座」になっています。

さて、この大蛇は人間たちに、大変に恐れられていました。
ギリシャ神話の豪傑ヘラクレスは、神様の命令でこの大蛇を退治にやってきました。

もちろん、人々に恐れられる大蛇ですから、そう簡単には倒すことはできません。
なにしろ、大蛇の首を打ち払うと、そこから新たな首が2本、ニョキニョキ生えてくるのです。
これには、ヘラクレスも困りました。
切れば切るほど大蛇の首が増えてゆくのです。

そこで、ヘラクレスは知恵をだしました。
松明を持ってくると大蛇の首を切り落とした跡に押しあてたのです。
ジュゥ~~~~!
傷口を火で焼いてしまえば、新たな首は生えてきません。
スパッと切っては、ジュゥ―と焼く・・・。
スパッと切っては、ジュゥ―と焼く・・・。
俗にいう「スパジュゥ作戦」です。
戦況は、一気にヘラクレス優性になりました。

大蛇の友達である蟹は、初め物影からコッソリ応援しておりました。
しかし、友だちの大蛇はピンチです。
いてもたってもいられなくなりました。

「友情!」

蟹は、自分が小さな小さな存在であるコトも省みず大男のヘラクレスに向かっていきました。
その小さなハサミで戦いを挑んだのです。

「どうだ! 痛いだろう!! 参ったか!!!」

…というつもりで、満身の力をこめ、ヘラクレスの足の小指を挟み付けました。
しかし、大男のヘラクレスは
「んん・・・? 何か足がモゾモゾするなぁ」
と感じる程度・・・。

ふと見降ろすと小さな蟹が顔を真っ赤にして自分の足の指を挟んでいます。

「おぃおぃ、そんな所に居ると怪我をするぞ・・・」

ヘラクレスが足をひと振りすると、蟹は天高く舞いあがり…(キラリン!)
そのまま星になってしまいました。

己が小さな身であるにもかかわらず、友達の為に一生懸命戦った蟹は神様に「友情」と「勇気」を認められ星座になったのです。
これが、かに座という訳なんですね。
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