第1夜 神様の 金の牡羊 天翔ける

文字数 699文字

おひつじ座って知ってる?
秋の夜空で輝く星座だ。

今夜は、おひつじ座に伝わるギリシャ神話を紹介しよう。

フリクソスとヘレは、仲の良い兄妹だった。
しかし、二人がまだ幼い頃、二人の生みの母ネペレは、病で亡くなってしまう。
そして、2度目の母親は、二人に優しくはなかった。

「お母さま、僕たちの本当のお母さま。
 どうぞ、僕たちを助けてください。」

二人が祈ると天から金色に光輝く牡羊が姿を現した。
祈りが通じて、母ネペレが神様ヘルメスから授かった金毛の羊を二人の元に差し向けたのだ。
フリクソスとヘレは、牡羊の背に乗るとしっかりつかまった。
金の牡羊は、二人を乗せ空へ舞い上がった。
そして、もの凄い速さで東へ東へ・・・東の国コルキスを目指して飛んで行った。

フリクソスとヘレを乗せた牡羊が、ギリシャを過ぎ小アジアに差しかかったときのこと。
それまで、固く目を閉じていた妹のヘレが、そっと目を開き下を見てしまった。
牡羊は、空の高いところを飛んでいた。
遥か彼方に見える地上・・・あまりの高さに目がくらんだヘレは、思わず手を離してしまった。

「しまった!」
と牡羊が振り向いた時にはもう遅い。
ヘレは、海へと落ちていってしまったのだ。
・・・この時、振り向いた牡羊の姿を星座にしたものが「おひつじ座」。

ヘレの落ちた海は、彼女の名前をとって「ヘレスポントス(Helespontos)」と
名付けられた。
この海は、地中海と黒海をつなぐ海峡付近にあたり、現在は古代都市「ダルダネス」の名をとって
「ダルダネス海峡」と呼ばれている。

悲しみに暮れる兄フリクソスに牡羊は、そっと「勇気」を与えた。
コルキスに到着したフリクソスは、この地で幸せに暮したという。
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