第20夜 大熊と 小熊の親子の 物語

文字数 946文字

春の夜空・・・天頂近くに特徴的な七つの星の並びがあります。
「北斗七星」です。
北の空で、ひしゃくの形に並ぶ七つの星。
星座では、「おおぐま座」の尾の部分にあたります。
北斗七星は、北極星を見つける星の並びとしても有名ですね。

北の方位を教えてくれる星「北極星」。
こちらは、こぐま座の尾の先の星です。

神話では、おおぐま座とこぐま座は、親子であるとのこと。
おおぐま座は、カリストという女性。
そして、こぐま座は、その息子アルカスの姿だと言います。
今夜は、おおぐま座、こぐま座に伝わる神話をご紹介しましょう。

===

カリストは、月の女神アルテミスに仕える女性でした。
その美しさの為に大神ゼウスに見初められ、男の子アルカスを産み落とします。

しかし、アルテミスは、純潔の女神でもありました。
「純潔の女神に仕える者が、孕むとは何事か!」
こどもを産んだカリストは、アルテミスの怒りに触れ追放されてしまいました。

その上、ゼウスの妃ヘラからも呪いをかけられカリストは熊の姿に変えられてしまったのです。
熊になったカリストは、赤子のアルカスを置いて、森の中へと消えてゆきました。

十数年の時が経ち、アルカスは立派な狩人に成長しました。
ある日のこと、アルカスは森で大きな熊に出会います。
「よし、この弓矢で、仕留めてみせるぞ!」
アルカスが弓を引き絞ると、熊は、ものすごい勢いで突進してきました。

そう、この熊こそ、母親のカリストだったのです。
成長した息子の姿を見つけ、なつかしさのあまり駆け寄ってきたのでした。
「まぁ、アルカス大きくなって…」
カリストは、我が子アルカスを抱きしめようとしました。
しかし、彼女の言葉は熊が吠える声にしか聞こえず、抱きしめようとするそのしぐさは襲い掛かってくるようにしか見えません。

襲い掛かってくる熊を倒そうと必死に弓を引くアルカス。
この様子をてんで見ていた大神ゼウスは、
「母親を殺してはいけない」
と咄嗟にアルカスも熊の姿に変え、天へ上げ星にすることにしました。
===

ゼウスは、この母子を天に上げるとき、2頭の熊の尾をつかんでグルグル振り回し、ポォンと投げ上げたのだそうです。
2頭の熊は、無事星座になりましたが、よく見ると尾が長くなってしまっています。
星座の熊の尾が長いのには、こんな理由があったんですね。
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