その1の補足 地の文を「あなた」で書かない理由は、もしかすると

文字数 1,057文字

始まっていきなり、補足です。すみません。

めんどくさいと思ったかたは、このページは飛ばして、次に進んじゃってください。

地の文を「私」で書くのが「一人称小説」、

「彼」「彼女」などで書くのが「三人称小説」で、

小説は基本、この2種類のうちのどちらかだ、という話をしました。


一と三があるのだから、もちろん二もあります。二人称小説。

地の文の主語が「あなた」である小説です。

そういう小説、ご存じですか?
なかなか、ないですよね?


始めから終わりまで、

「あなたは朝起きた。あなたは歯をみがいた。そしてあなたは死んだ」

だけで、できている小説。

ヒツジも例えば、

「きみはあのとき、こうしたよね」

とか書いてみたりして、

この部分だけは二人称小説書けたよ? なんて、
ちょっと得意になったりしてたんですけど、

違ったわ。
ということに、しばらくして気がつきました。


たんに地の文の「ぼく」が、別のキャラクターに呼びかけてただけでした。

ふつうに一人称小説でした。

地の文に「ぼく」や「私」が出てきた段階で、もう一人称小説です。

純粋な二人称小説ってつまり、「ぼく」も「私」もいっさい出てこない。

地の文に「あなた」しか出てこない。

そういう定義になります。

で、それって可能なの? という話です。

もちろん、不可能ではないけれど……
……
……
なんで、

ポエミー

な感じがしちゃうんでしょうね?
さんざん考えてみたんですけど、
よくわからないです。

もしかすると……

たんなる
慣れ
の問題かもしれません。
いままで何世紀も、小説の地の文は、「彼/彼女」か「私」で書かれてきました。
圧倒的大多数がそうでした。
そういう小説の中で、地の文から「あなた」と呼びかけられる人がいるとしたら、

それは、読者だったんです。

読者であるあなた、だったんです。

ほらね。
そうでしょ?
ヒツジという「私」が、いまこのページを読んでくださっている「あなた」に向けて書いている。
それがデフォルト。

なのに、
地の文が、主人公を「あなた」と呼んでしまうと、
読者の居場所がなくなっちゃう……


……から、かな?
なんて、考えてみました。

作者と主人公で完結している世界に、
読者(である私たち)の入りこむすきがない、雰囲気。
だからポエミーな感じがする、のかな、なんて。
わかんないですけど。

地の文に「きみ」しか出てこなくて、面白い長編小説。
実在するそうですけど、ヒツジはまだ読んでません。
もっと他に、読みたい物が多すぎて。

そういう二人称小説、いつか読んだらご報告します。
いまは、この話題は、これでおしまい。

ということで、先へ進んじゃいます。
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ミミュラ


このチャットノベルの管理人。ときどきアマビエに変身する。

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