セリフ詳細

いままで何世紀も、小説の地の文は、「彼/彼女」か「私」で書かれてきました。
圧倒的大多数がそうでした。
そういう小説の中で、地の文から「あなた」と呼びかけられる人がいるとしたら、

それは、読者だったんです。

読者であるあなた、だったんです。

ほらね。
そうでしょ?
ヒツジという「私」が、いまこのページを読んでくださっている「あなた」に向けて書いている。
それがデフォルト。

なのに、
地の文が、主人公を「あなた」と呼んでしまうと、
読者の居場所がなくなっちゃう……


……から、かな?
なんて、考えてみました。

作者と主人公で完結している世界に、
読者(である私たち)の入りこむすきがない、雰囲気。
だからポエミーな感じがする、のかな、なんて。

作品タイトル:地の文、「私」で書くか「彼女」で書くか ~ぜんぶ視点の話~

エピソード名:その1の補足 地の文を「あなた」で書かない理由は、もしかすると

作者名:未村 明(ミムラアキラ)  mimura_akira

41|創作論・評論|完結|23話|20,706文字

創作論, 小説の書き方, 創作のヒント, ハウツー, 地の文, 視点, 人称, 一人称, 三人称, キャラクター

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ハウツー難易度:★★☆
創作論、第4弾です。「人称」と「視点」について書いています。
気軽なエッセイ……のつもりだったのですが、けっこう気合い入れて書いてしまいました(笑)。とくに「付録」のショートストーリー。
ご参考になれば幸いです。
(2020年冬に書いたものを何度か書き直し、最終的にチャットノベル形式に改めました。)

アイコンは「ひかわさん」というイラストレーターの作品を使用しています。(イラストACよりダウンロード)