その9 知らない単語はそもそも聞き取れないよ問題について

文字数 948文字

どんなキャラを語り手に選ぶかは、
作品全体にとって決定的ですよね、
という話をしています。

例えば、可愛いって理由で、
かんたんなことしかしゃべれないキャラを語り手にしちゃうと、

あとあと不便です。

国際的なスパイ組織の陰謀の話なのに、

語り手が

小学3年生

だとか。

猫だとか。
不可能ではないです。

難度高すぎるだけで。

あ、その小学3年生が天才だとかはなしで。

脳になんか仕込まれたハイブリッド猫とかもなしで。

ふつうの小学生が事件に巻きこまれて、

大人たちから手取り足取り国際政治を教えてもらう、

という展開は不可能じゃないけど、
限度があります。

猫に

「コンプライアンスとは」

を教えるのにも限度があります。


そもそも必要?って話です。

教わるって、

教わる側がすでにあるレベルに達してないと、

無理ですよね。

知らない単語はそもそも聞き取れないよ問題

というのがあります。
語学の教材で

「英語のシャワーを浴びる」

的な?

ああいうのってまだあるんでしょうか?


あれは詐欺ですね。

「浴びるように聞いていれば、そのうち自然に聞き取れるように」

絶対なりません。

早い話が、

カフェなどで隣の席の人が難しい話をしているとき、

じーっと聴き耳を立ててたらそのうちわかるようになるかというと、

ならないですよね。

「こんぷらいあんすって、新しいネコ缶のブランド?」

とか思ってるヒツジがいくらがんばって聴いても、

ネコ缶から離れられないです。

だから、難しい話を書きたかったら、
語り手にするのは、

語彙も文法も高度なのを持ってる人がやっぱりいいですね。

凄腕のスナイパーで何ヵ国語もぺらぺらだとか。

それはゴルゴさんですね。

でもね、一人称小説の語り手が全員ゴルゴさんみたいなスーパー知能だと、
あんがいつまらない。
と思いませんか?

だって、それなら、
最初から三人称の神視点で書けばいいんじゃないかな。
スーパーマルチでない、ちょっと不便で不自由な語り手のほうが、
一人称ならではの面白さがあったりします。
次はその話をしますね。
語彙の多くない人の、一人称と三人称の比較は、
「『ル=グウィンの小説教室』をつまみ食いしちゃうのだ」
の中でくわしく扱ったので、ぜひチラ見してみてください。

第7章「これが視点だ!」視点タイプ1&2(一人称視点)

第7章「これが視点だ!」視点タイプ3&4(三人称視点)
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登場人物紹介

ミミュラ


このチャットノベルの管理人。ときどきアマビエに変身する。

ヒツジのくせに眠るのが下手。へんな時間に起きてしまったり寝てしまったりする。
紅茶もコーヒーも、ココアも好き。(下戸)

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