第10話 テレビと旅行

文字数 1,223文字

 四月も終わりが近づいてくると。
 ゴールデンウィークという最高な期間が訪れる。
 私は四月のおわりから五月の初めにかけて、北海道旅行を妹のマツリと計画していた。
 それがもうすぐ、間近にせまってきていた。

 あれからリンネとは、普通に毎日アプリで会っている。
 だって、レポート書かなくちゃいけないし、と思っていたら、リンネの人間っぽいところもなんだか慣れてきている自分がいた。はじめは無気味だと思ってたけど。
 感覚がマヒしてきているんだろうか。

「ねえ、リンネ」
「なんだ?」

 リンネはいま、私の部屋でハードの中からテレビを観ている。
 本物のテレビを。
 カメラ機能と、スピーカーから情報が収集できることがおもしろいんだそうだ。
 今はバラエティ番組をみていた。
 私もそれを一緒に観ると、ちょうど北海道の観光や食レポなどをやっていた。
 芸能人が楽しそうに北海道を満喫している。

 今、旅行のことを切り出すにはちょうどいい感じだ。

「このゴールデンウィークに、旅行に行こうと思ってるんだ」
「そうか、どこにだ?」

 テレビを観ていたリンネの瞳が、私の方へむく。

 私はテレビを指でさして「北海道」といった。

「ここか」

 そこには雄大な北海道の大自然が映っている。
 大きく広がる色とりどりの畑がきれいだ。

「リンネも連れて行こうと思ってるんだけど、どう?」
「それは楽しみだな! 五月の北海道は爽やかだそうだ。食べ物は美味しいし、景色もいい」
「私の妹のマツリも来るんだけど、いい?」
「もちろん。旅行は一人で行ってもつまらないから」
「それは同感」

 私たちはテレビを観ながら笑い合ってゴールデンウィークの旅行の計画を話す。
 すると、ちょうどそのときにマツリから電話がかかってきた。
 私よりも二つ歳下の彼女はいま大学生で、私の勤めている大学とは違うところへ通っている。

「マツリ、ひさしぶりね」
 
 マツリと久しぶりに電話で話した。
 旅行の計画を練るために一か月くらい前に会ってるけど、それ以降は私の仕事が忙しくて会えなかった。

 今度いく北海道のことを色々話すと、期待で楽しくなってくる。
 そこで、私はマツリにリンネのことを話した。
 仕事仲間の雁太に頼まれて、恋愛アプリの被験者になっていることを。
 そして、旅行にこのアプリを持っていくことなど。

 マツリは、旅行に恋愛ゲームを持ってくの? と呆れていた。
 でも、これはレポート書かないといけないし、仕事の一環だから、と納得してもらった。

 マツリとリンネと北海道旅行。

 来週が楽しみだ。

 【四月のレポート 3】

 【最近リンネはテレビがお気に入りみたいです。
 情報がたくさん流れてくるから楽しいんだそう。

 月末から旅行にいきます。
 リンネも一緒に行く予定。
 妹とも一緒に行くから、そこで三人で楽しめたらいいと思う】


 ゴールデンウィーク中は仕事が休みだから雁太と会えないな。
 アプリのこととか聞けないけど、旅行に行くだけだから何も問題ないだろう。
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