第12話 北海道旅行2 富良野

文字数 1,397文字

 空港を降りると私達はレンタカーを借りて北海道の道を走った。
 初めての道だが、二人で地図を見て目的地の富良野までドライブする。
 それに、道を間違えそうになると、リンネが教えてくれるのだった。
 どうやって教えてくれたのかは、メール機能を使って、だ。
 基本的に車の運転中、私はアプリを開かなかったので、リンネが「道が間違っている」とメールを送ってくれたのだ。

「すごい技術だね、おねえちゃん。そのリンネってAI」

 私はそれを聞くと、何故か誇らしくなった。

「そうね。きっとGPS機能が付いているから、私たちの行く目的地が分かってれば、間違えに気が付くのよ」

 きっとそうに違いない。
 道に明るい人と一緒にいるみたいで、心強かった。

 そうこうするうちに最初の目的地、ラベンダーの沢山咲いた場所へとついた。

 車を停めて、ラベンダー畑を見てみる。
 北海道は広い。見渡すかぎりの紫色のラベンダー畑が、ここには広がっていた。

 立ちのぼるラベンダーの芳香が気分をさらに高揚させる。
 私はさっそくアプリを開いてリンネと話した。

「さいっこう! いい匂いだし、気分いいわねー」
「そうだな。本来ラベンダーの香りをかぐと落ち着くんだが、今は興奮剤になっているみたいだね。カフェインを摂ったときのような」
「カフェイン? じゃ、コーヒーよりもこの光景の方が強い薬になってるわけね」

 リンネと他愛ない話をしていると、マツリが呆れた声をだした。

「お姉ちゃん、リンネといる方が楽しいんじゃない?」

 苦笑して言われて、私ははっと我に返る。

「そんなことないよ。マツリと一緒に旅行に来たんだし、マツリだってもっと楽しまなきゃ」

 私は手の中にあるリンネのハードでマツリの写真をパシャリと撮った。

「ほら、これ写真もとれるの。あとで現像してあげる」
「うん、ありがと。お姉ちゃんも撮ってあげるよ。彼氏と一緒に映る?」
「彼氏じゃないわよ。でも、それもいいわね」

 マツリはいたずらするような顔でそういうけど、彼氏じゃないと念を押す。

 マツリの写真をとったあと、今度はマツリが私の写真を画面にいるリンネと一緒に取ってくれた。
 ちなみに今の彼の様子は、カメラから外の風景を取り込んで、ラベンダー畑のなかでラフな普段着をきた恰好で立っていた。私達のように帽子もかぶっている。だから、一緒に散策しているような錯覚におちいる。

私と彼の写真を撮ったマツリからハードを受け取ると、写真を確認してみる。

ラベンダー畑でほほ笑むマツリと、私と彼の写真が撮れていた。
CG(リンネ)と一緒に撮るとは思わなかったけど、写真の私達はわりとサマになっていた。

いぜん雁太が言っていたことを思いだす。

――『恋愛に思い出は必須。二人だけの思い出を作れるってわけさ。カメラ機能もあるから思い出の場所だって記録できる。会話も記憶する』――

 確か、そう言っていた。
 
 思い出の場所か。
 この北海道旅行が思い出の旅行になるのかな。
 私は手の中のハードを見ながら、マツリに言った。

「ここはもう、たくさん見たから次の場所いこうか」
「次ね。次も絶景の場所だよ。綺麗な湖とか渓流があるんだって。すごく有名らしいよ」

 マツリも気分が高揚しているみたいだった。
 でも、こころなしかふと表情がかげる。
 私を心配そうな顔でみていたりする。

 気のせいだろうか。 

 私たちは楽しい気分で次の目的地、美瑛(びえい)へと車を向けた。

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