.・.✽・ ご愛読ありがとうございました〈あとがき〉 ・.✽・.

文字数 2,253文字

.・.✽・ アルタクティス特別編 『 やしろの首輪 』誕生の秘話【というより裏話】 ・.✽・.


 本編の紹介用に書いた読み切り単独版の本作、『やしろの首輪』は、某大手出版社の、とある編集者の方からのアドバイスがきっかけで書いたものでした・・・。

 学生時代、ただの〝飽きないブラインドタッチの練習法〟として思いついた、小説を書くということ。ですから、この『アルタクティス』を書き始めた学生時代は、自分だけが楽しめればいいだけの、完全な自己満足でした。でも、そのうち面白くなってしまって、いつしかコンテストに出してみたい・・・と思うようになったのです。

 でも、もともとは、そんなつもりもなく書いていたものですから、そう思うようになった頃には、この処女作は、シリーズ総文字数150万字を越える大型長編作になっていました。そのため、どこにも応募のできないものだと諦めていたのですが、一社だけあったんです。字数無制限だというところが(当時はweb小説なるものがメジャーではなかった?)。

 私は奇跡だと奮い立ち、そこへの応募を目標に一度目の改稿を行いました。量が量なので、時間はそれなりにかかりました。

 そのため、いざ出品しようという時になって改めて応募要項というものを再度確認してみれば、改稿しているあいだに、とうとうそこでも字数制限ができていて・・・・。そこで、苦し紛れで思いついたのが、シリーズの中から読み切りにできそうなもの、かつ字数条件を満たせそうな話をアレンジすることでした。そうして確か三作応募して、当然失格になるだろうと分かっていたので、訳を添えて出したんです。

 すると、わざわざその編集者の方がお電話くださり、「とりあえず、どうにか短くまとめるか、また新しい作品を書いてみては・・・。」と。

 とても複雑な気持ちでした。所詮ビジネス。多忙な中、空いた時間でやっと読んでもらえる膨大な素人作品の一つのはず。応募条件に合わない作品なんて相手にしてもらえるわけがない・・・そう思っていたので、ほとんど諦めをつけるための無謀な出品でした。

 ですから、気に留めてもらえたことには感動したのですが(シビアな大手はもっと無情な世界だと思っていました)、短くまとめるのはとても無理・・・。その頃はほかの作品を書く気にもなれなかったので、そこで悩んだ末に思いついたのが、本編紹介用の作品 ―― つまり、ある意味また新しい作品 ―― を書くことでした。

 そうして完成したのが、この「やしろの首輪」です。

 ですから、この作品だけ他の話(章)とは違う作り方をしています。つまり、原案(ネタを書いたメモ書きのこと)が全く無い状態から、ストーリーは一から考え、捻り出して書き上げました。通常なら、集まったネタをもとに、どんな物語が作れるだろうって構成していくので、この逆をしたのは初めてでした。なんとなく考えたほとんどが、話が続かなくてボツになりました。そんな中、生き残ったのが、この「やしろの首輪」だったんです。

 とはいえ、この「やしろ・・・」も、最初は過去と現在の二部構成にする予定ではありませんでした。なので、数百年前のエピソードのネタは、現在のエピソードがまとまった段階でもゼロの状態でした。でもそこで「あ、字数がぜんぜん足りない・・・。」と気づき、何か大きな話を放り込む必要がでてきたので、過去の出来事は説明ではなく、思いきってしっかり書こう。物語にしよう。ということになりました。 

 でも結局は、せっかくそこまでやりましたが、提出する前に〝web小説投稿サイト〟というものの存在を知ることになったので、「web公開すると、未発表作品ではなくなる・・・?」と思いこんでいた私は、「一部だけで判断されてしまうより、本編まで全て読んでくれる人がいるかもしれない方がいい。」そう考え、こちらの世界を選びました。こんなに長くなってしまった物語だけど、読みきってくれる人がいたらいいな・・・と。

 その頃は、ほかの作品は書けない・・・と思っていた私ですが、あれから海外の古い青少年文学に啓発され「書きたい!」という衝動にかられるまま、『イルマの東へ』と、その続編『 イルマの東へⅡ~ Knights of Winder Kingdom ~ 』の二作品を、伝統的な青少年文学に、現代風のライト感を取り入れたスタイルを意識しながら、いっきに書き上げることができました。自分でも意外でした。

 その後さらに経験を積み、本来の私の作風(古風な王道ファンタジー・・・のつもり)とは一変した初めての人外もの『PERFECT VAMPIRE ~ 種特異性吸血鬼 ~ 』というヴァンパイア・ラブにも挑戦しました。

 『イルマの東へ』は、今の流行りを無視した真っ向勝負のつもりで出した作品です。だから、二つのサイトで特集に選んでもらえたことは驚きとともに、私の挑戦が認められたと思って本当に嬉しかったです。なにより一番は、私にとってはですが、予想をはるかに上回るたくさんの方に読んでもらえたこと。

 その経験を経て、ライトノベルから〝ライトな青少年文学〟へと、現在、推敲を重ねているこの群像劇ファンタジー『新装版 アルタクティス』は、私にとっては集大成です。今度は急がず、じっくりと完遂を目指して取り組んでいます。気長にお付き合いいただけましたら幸いです( ※ 2024.7 / 現在は微調整と確認作業の段階まで仕上がっています)。



  月河 未羽



    
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