23. 怨念の正体
文字数 1,737文字
「邪魔しないで!もう土の中は嫌!」
「いつもと違う・・・。」
エミリオも思わずそう
それができる考えられる理由は、一つ。
「この子、悪霊にもとり憑かれて・・・⁉」
首輪には魂が宿っていた。違和感の原因はこれだとカイルが分析している間にも、首輪の中からいきなり何かがシュッ! と放たれた。そしてそれは、トビのような形と大きさになったかと思うと、三体に分裂して、さらに二本足で立つ熊ほどにも大きくなってしまったのである。それでいて、全体的には狼に似ている。肌は黒く、鋭い目つきの眼球は血の色 一色。体毛も毛深く、上向きの
「うーっ、なんで化け物が出てくんだよ!」
リューイは動転して地団太を踏んだ。
「この呪い、妖術だ・・・!」
次々と本性を現す首輪の呪い。まずい・・・そういうことなら勝手が違う。悪天候は妖力や魔物に有利に働く。カイルは取り乱さないよう努めて冷静に考えた。呼ぶのは光の精霊か、それとも戦える戦闘用の・・・と迷っているうちにも、妖魔は狙いをつける相手を選びながら腰を落として、踏み込みの体勢。首輪からの出現は二度で止まったが、それらは分裂、分裂とまた増え続けた。
サッと
光の精霊がやってくれば、それだけで
そのあいだ、絶え間なく光の精霊たちに念力を送りながら、どうすべきかとカイルは考えた。
それにしても、日誌に妖魔のことについては触れられていなかったように思うが、まさかの書き忘れか⁉ と、カイルは
一方、リンも顔を覆って
案の定、そう心配している間にも、意を決したように妖魔が戻ってきた。
ただちに戦闘術に入り、闇の精霊を
カイルは闇の呪術を得意とした。
悪と連想されがちな〝闇〟。だが、世の中には普通に朝があって夜があるように、そんな感覚で見れば、精霊にも光があって闇がある、ただそれだけのこと。つまりカイルは、悪いものを
その攻撃は、
だが生命力の強いものは、絶命するまでにまた分裂を始める。
増えれば、カイルの闇の精霊も次々と
やっつける、増える、やっつける、増える、やっつける、増える、増える・・・浄化ができない!
「ごめん、ちょっと戦ってて!」
この状況に何が問題かを分かっていた仲間たちは、だろうな・・・と、すでに剣を引き抜き、身構えて
「了解。」
エミリオは胸の内で、ギルやレッド、そしてリューイは声に出してそう
さあ、リンをやしろへ・・・って、ああ、そうか! カイルはハッと気付いて
カイルは仲間たちを見た。
今や、男はみな言われた通りに戦闘中である。
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