1. 呼び声
文字数 1,142文字
少女は知らない場所にいた。
ここは、初めて来た
珍しい
この森に住み初めてからは、少女は一人で村から離れた場所へ行ったことが無かった。遊び場はいつも、村の中の
少女は、この深い森の中にあるトラウという村の子供。そこへは二年前に移り住んできたばかりだ。その村人たちは、西の激戦地から逃れてきたのである。何十年か昔には、そこにまた別の村があった。
スラバ・・・という村だ。
今、少女の目の前には、口を大きく開けた洞窟ともう一つ、印象的な建物がある。それとよく似たものを、少女はずっと以前に見たことがあった。
それは〝神様のおうち〟。
ここへと移り住んでくる前のこと。その時にいた村の近くの町で、白いそれを見たのである。つまりそれは、大理石に白い
だが今そこに見えているものには、それとは明らかな違いがある。周柱式で形は似ているが、材質がまるで違う木造のやしろだった。
少女は、不意に胸を押さえた。
実は、ここへとたどり着く少し前から、体に異変を感じていたのである。それが、だんだん気分が悪くなっているのだと気付いたのは、今になってのことだった。
中を見てみたくて、そのやしろへと近づいていた少女。だが気持ちが悪くなったことでその気が無くなり、帰ろうと背中を向けた。
待って・・・。
少女は、ふと立ち止まる。
お願い・・・ここから出して。
誰かに話しかけられているような・・・だが聞こえるものは何もない・・・妙な感覚。
これは何? 何だかとても、苦しくて切ない・・・声?
少女は振り返り、何となくやしろへ足を踏み入れた。そこで目を
何かに触った・・・固い物。
たちまち胸の悪さを忘れるほど興味をひかれて、さらに土を払い
そして現れた白い箱の中のものに、少女は
それは、水晶の粒を
ありがとう。あなたはとても強いのね。お礼に、この子たちは
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