第30話

文字数 396文字

 巡回は、そこまで遠く出歩く訳では無い。回っている最中に何かしら実際に、取り締まりに類する事を行うのが期待されてはいなかった。
 何とはなしの安心感や、無法者達が居たとして少しは活動を、控えるかもしれないといった程度の話ではあった。とは言え、意義を低く見過ぎるべきでも無かった。

 幾つかの順路が、有った。一つは無論街道筋で、アイヌール川、ザリアの町への道を往復する。それから、単純にヤリジュアの周囲を広く回る道筋も有った。
 そうして、ヤリジュアならではなのが、デアリア鉱山方面への巡回である。
 勿論、鉱山自体まで行く事は無い。
 近くまで行く事も、無い。何となく、鉱山への方角に当たる一帯をウロウロする様な物で、それで何になるとも言い難かったが。
 気休めにもせよ、デアリアから何か危険な存在が蠢き出て来たりしていない事を確認していた。
 兵士が殺されたのは3人とも、此の三番目の順路に於てであった。
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