第3話

文字数 398文字

 エルフは、立ち塞がる様にガイアンの前に、回り込んだ。着ている物は大分派手であり、金も掛かっている様だったが古びており、破れている所も有った。

「我が愛しき、麗しき心の友」

 言いつつガイアンの表情は、冷静なままだった。

「冷たいな!」

「心底、喜んでるぞ?」

「愛を伝えようって時はな、言葉より、心の底からの笑顔が、大事なんだぜ」

「どんな嬉しい話を、持って来てくれたんだ?」

 大通りから分かれた、少し狭い道だったが行き来はそれなりに、有った。無論誰も、二人に目を向けはしなかった。
 まだ雪の季節では無かったが、風は冷たかった。澱んだ様な分厚い雲が、かなり速く流れつつも途切れる事無く、空を覆っていた。

「いや…そこなんだけれど」

「ほう?」

「少々、面倒事というかさ…」

 言われた瞬間、ガイアンが身に纏った空気に、鋭さが現れた。

「詳しく」

「面倒事だぞ?」

「儲け話と言われたら、別れを告げてる所だった」

「おい…」
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