第40話

文字数 288文字

 エスナルドル司令官は、兵士に相談事をする人では無かった。副司令官という存在も、いなかった。今回は、珍しかった。

「難しいな…!」

「え?」

 話し掛けたのが、巡回の報告に来たバルキエールだったというのは何か、有ったのかもしれない。

「冬の馬車が、便りをもたらしてくれてね」

「中央から、ですか?」

「今は、言えないけれど」

「司令官は、よくやっておられます」

 バルキエールは突然、言った。

「司令官という肩書きは、辺境に追いやり易くする為さ」

 バルキエールは、返事をしなかった。

「二、三日中に、知らせる…といっても、皆には余り、関わらないけれど」

「司令官は、よくやっておられます」

「有難う」
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